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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
2103/2103

第2103話 忘れられていた力2(2)

「まあ、解決してしまったのなら仕方がないですね。というか、普通にアオンゼウを討つよりもハッピーエンドになったようですし。むしろ、それが最上の結果でしょう。私はご主人様たちが選んだ結果を祝福いたします。・・・・・・ですが、しばらくの間は私の存在意義がなくなってしまった事にショックを受け続けるでしょうが。しかし、そこは許していただきたいのです。私からすれば、やっと存在意義を果たせると思い目覚めたら、やっぱいりませんでしたという状態ですから。ええ。どうか暖かく寄り添っていただきたいです」

「あ、ああうん。分かった。その・・・・・・なんかごめんな」

「いえ、いいのです。ご主人様が私の事を知らなかったのは存じていますから。異世界人であるご主人様が私の事を知らないのも無理はありません。お気遣いありがとうございます。私、ご主人様のこと好きです」

「え、あ・・・・・・? え?」

 急にナナシレから好意を伝えられた影人は、何が何だか分からず固まった。なぜ、自分は会って数分の存在から好意を告げられているのだろうか。ナナシレは影人の手を自身の両手で掴むと(どうやらナナシレには実体があったらしい)、熱の込もった目を影人に向けた。

「ご主人様の記憶を見させていただき、ご主人様がいったいどのような生を歩んでこられたのかを理解しました。いついかなる時であっても諦めない。どんなに苦しく辛い事があっても挫けずやり遂げる。あなた様こそ、真に勇者、英雄と称えられるべき人物です。私があなたのような方の力となれる事、光栄でございます」

「い、いや俺はそんな奴じゃないぞ・・・・・・?」

「ご謙遜を。自身の偉業を全く誇らないその姿勢、尊敬いたします。しかも、ご主人様はその身に畏怖すべき力をも備えていらっしゃる。しかも複数も。ご主人様は神の力を宿し、全ての存在の死の決定権を持ち、また己の本質を世界に顕す力をも持つという、げに驚嘆すべきお方。まさに神すらも超えた存在。超越者でいらっしゃいます。そんな素晴らしきご主人様に仕え、お力となれる事、この上ない喜びです」

「いや、だから俺はそんな奴じゃ・・・・・・っ」

 ナナシレが影人を崇拝するような目を向ける。ここまでストレートに持ち上げられた事がなかった影人は、少し引いた様子になる。だが、影人は次の瞬間には苦しそうに顔色を変えた。

「悪い。そろそろ『世界』の維持が限界だ。解くぞ」

 影人の『世界』はその性能が破格な分、燃費がすこぶる悪い。スプリガンの力が満タンの状態でも、最大顕現時間は約10分ほどだ。そして、現在の顕現時間は体感だが8分ほど。影人は『世界』を解除した。結果、周囲の景色がシェルディア宅へと戻った。影人の『世界』の無垢な魂たちと鬼ごっこをしていたぬいぐるみは、突然景色が戻り魂たちが消えた事に「!?」と驚いていた。

「ふぅ・・・・・・やっぱり『世界』は疲れるな」

 影人はスプリガン形態のままイスに腰掛けた。ナナシレは「なるほど。ここが真祖シェルディアの現在の邸宅ですか」と周囲を見渡していた。

「大丈夫ですかご主人様? ご気分が優れないようでしたら、お休みされる事をお勧めしますが・・・・・・」

「大丈夫だ。それほどじゃない。ありがとな。心配してくれて」

 影人はナナシレに対し感謝の笑みを返した。すると、ナナシレはスッと影人に頭を下げた。

「もったいないお言葉です。私のような存在にそのような優しい笑みを下さるご主人様・・・・・・ああ、やっぱり大好きでございます」

「・・・・・・大丈夫かお前。災厄が融合した存在のくせにチョロすぎだろ」

「よいのです。従僕とは、ご主人様に対してチョロすぎるくらいが丁度いいのです」

 呆れる影人にナナシレは顔を上げ、真顔でそう言い切る。もう色々と疲れた影人は「さいですか・・・・・・」と、無理やり話を終わらせた。

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