第2099話 忘れられていた力1(2)
「・・・・・・でも興味はあるな。イズ、お前の言った通り今更の話だが、茶飲み話がてらその方法を詳しく教えろよ」
「別に構いませんが・・・・・・茶飲み話がてらでいいのですか。一応、あなたは私の監視者でしょう。監視者として、アオンゼウの体を滅する方法を知るという真面目な態度があなたには求められるわけですが」
「別にいいだろ。監視者なんて、お前がずっと心変わりしなきゃただの名目だ。朝宮や月下がお前を信じているように、俺もお前の事をある程度は信じてるんだよ」
「・・・・・・急に何ですか。気持ちが悪い」
「気持ち悪くて悪かったな。いいからさっさと話せよ」
影人は残っていたロールケーキをフォークで掬い口に運ぶと、イズにそう促した。
「・・・・・・まあいいでしょう。元々、4つの災厄はアオンゼウに備わっていた力に、命を滅するという命令システムを組み込んで分離したものです」
「え、マジかよ。じゃあ、元々のアオンゼウはもっと強かったって事か?」
「そうとも言い切れません。4つの災厄は元々分離を想定されていた力ですから。もう少し詳しく言いましょう。確かに、4つの災厄は強力極まりないですが、災厄がアオンゼウと1つとなって、アオンゼウがより強くなるという運用方法はなかったという事です」
「あー、なるほどな」
イズの説明を聞いた影人は納得し首を縦に振った。つまり、災厄にアオンゼウの強化パーツとしての役割はなかったという事か。
「災厄どもはアオンゼウの使い魔的なものだったわけだ。でも、使い魔にしては災厄どもって強過ぎねえか。俺は運良く全員サクッと滅する事が出来たが・・・・・・あいつら全員不死だし、1体で国を崩壊できる力があったぜ。あれが使い魔はいま考えたら色々おかしいレベルだぞ」
「・・・・・・簡単に言いますね。不滅の災厄を全員滅する事など普通は不可能です。例え、不死を殺す方法があったとしても、災厄は概念でもありますからね。まあ、あなたの『世界』と『終焉』は不死を殺す方法としては最上位のものなので、災厄を苦労なく滅する事が出来たのでしょうが。・・・・・・改めて思いますが、あなたは本当に人間ですか?」
「失礼な奴だな。どこからどう見ても人間だろう」
「どこからどう見ても前髪の化け物に見えますが。話を戻します。今あなたが言ったように、災厄は自立分離した力としては強力に過ぎるものです。そして、そこにアオンゼウの隠された弱点があるのです」
「っ、どういう事だ・・・・・・?」
影人が首を傾げる。影人の疑問の言葉を受け、イズは詳しく説明を行なった。
「災厄は災厄を倒した者の力になる。そういうリスクを設定する事で、災厄は使い魔にしては破格の力を持っていたのです。まあ、災厄は一応不滅の存在なので、リスクというリスクにはなっていないのですがね。そして、4つの災厄の力、それを束ねた者がアオンゼウを滅する事が出来る力を得る・・・・・・アオンゼウは自分を討てるルートを1つ作っておく事で、それ以外の方法では倒す事の出来ない存在となっていたというわけです」
「そうだったのか・・・・・・」
話を聞き終えた影人がそう言葉を漏らす。影人は緑茶を飲んで喉を潤すと小さく息を吐いた。




