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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
2095/2103

第2095話 兄と妹2(2)

「っ・・・・・・なるほどな。お前が身に纏ってるのは怨念か」

 影人は少し苦しそうな顔になりながら、怪物を見上げそう呟いた。怪物が影人に飛ばして来たのも怨念のエネルギーだ。そして、その怨念を対象の中に入れる事で、対象は怨念に支配され、やがて怨念に自我を喰らい尽くされる。そうやって敵を倒す。いわば、一種の精神攻撃だ。

「影・・・・・・スプリガン!」

 未だに混乱している穂乃影は、影人の事をどう呼んでいいか分からず、心配そうな声でスプリガンの名を呼んだ。

「・・・・・・!」

 怪物はチャンスとばかりに影人にどんどんと怨念を送り込んで来る。その度に影人の中の怨念が強まる。影人の自我をどんどん喰らい尽くそうとする。普通の者は巨大な怨念のエネルギーに抗う事など出来るはずなどなく、怨念に自我を喰われるだろう。否、例え人外や強者であろうと、精神が普通である者、精神攻撃に耐性がない者も怨念に支配されるだろう。

「・・・・・・残念だったな。俺にこんな怨念ものは響かねえよ」

 しかし、不幸というべきか、怪物が怨念によって精神攻撃をした相手は普通の者ではない。精神が普通である者ではない。精神攻撃に耐性がない者でもない。よりにもよって、怪物は帰城影人という人間の最も強い部分に、最も捻じ曲がった部分に手を出したのだ。すなわち、帰城影人の心に。

「お前、運がないよ。本当、どうしようもなく運がない」

 影人は『破壊』の力を自身の右手に付与した。結果、影人の身に降りかかっていた重力が破壊される。影人は()()()()自分の中で暴れている怨念を意思の力で逆に喰らい尽くした。結果、影人の中の怪物の怨念は消滅した。

『――ふふっ、吾が出るまでもなかったな』

 影人の精神の奥深くから現実世界を見ていた黒い影――零無の分体が口元の白い穴をニイと三日月の形に変える。影人が零無の本体を裁いた後、既に零無の分体がいるこの区域の封印は完全に解かれている。そのため、分体は常に影人を通して現実世界の状況を把握していた。

『馬鹿だねえ。影人に精神攻撃なんて意味がないのに。影人の精神の強さは元より、影人の中には吾がいるんだぜ。怨念如きが、吾がいる影人の精神を侵せるはずがないだろう。さあ、その流入者に身の程を教えてやれ、影人』

 影人の内で零の分体がそう言葉を放つ。影人に分体の声は聞こえない。だが、奇しくも分体が内で放った言葉と同時に影人は反撃を開始した。

「目には目を。歯には歯を。竜・・・・・・かは分からねえが、竜には竜だ」

 影人はスッと右手を水平に伸ばした。すると、影人の体を中心に莫大な闇が吹き荒れた。闇はやがて竜の形に、いや正確には龍の形に変化した。加えて、影人はその龍に自身の影を纏わせた。

「怨念をぶつけて攻撃してくるって事は、お前にも精神はあるんだよな。だったら今度はお前に精神攻撃をしてやるぜ。喜べよ。俺が精神攻撃をするのは多分初めてだ」

 影人は変幻自在のスプリガンの力を使って龍に精神を攻撃する力を付与した。纏わせた影はその攻撃を強化するものだ。影人は酷薄な笑みを怪物に向けた。

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