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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
2069/2103

第2069話 クリスマス前髪争奪戦4(4)

「そして、こいつで終わりだ」

 影人はもう1つの『世界』を解除する方法――『世界』を顕現した者が『世界』を解除する――を選択した。結果、周囲の風景が現実世界へと戻る。それと同時に影人は練っていた転移の力を使用した。影人の姿は黒い粒子となってその場から消えた。それは一瞬の出来事だった。

「・・・・・・逃げられたわね。本当、逃げ足だけは速いんだから」

 再び『世界』を顕現しようとしていたシェルディアは小さく息を吐いた。真祖化し『世界』を顕現したシェルディアから逃げられる者がいったいどれだけいる事か。悔しいが、流石はスプリガンといったところか。

「しかも、ご丁寧に気配まで隠蔽しているし・・・・・・追跡は不可能ね」

 シェルディアは影人の追跡を諦めざるを得なかった。そして、シェルディアは大きくため息を吐いた。

「はあ、あの子にも困ったものだわ。取り敢えず、次にあったら半殺・・・・・・ちょっと痛めつけましょう。さて、この後はどうしようかしら」

 真祖化を解除しながらシェルディアはそう呟いた。影人とデートをする予定だったが一気に暇になってしまった。しかし、このまま家に帰るのも味気ない。

「・・・・・・せっかくだから、少し店を回ってみようかしらね」

 ちょうどこの辺りは大通りの近くだ。気晴らしにショッピングでもしよう。シェルディアはそう考えると、大通りを目指して歩き始めた。












「ふぅ・・・・・・取り敢えず、何とか生きてるな」

 転移の力を使ってシェルディアから逃げた影人は安堵の息を吐いた。同時にどっと疲労が押し寄せる。無理もない。『世界』を顕現し、真祖化したシェルディアを相手にしたのだ。更には、力の消費量が激しい回復の力、『世界』顕現、転移の力も使用した。体感として、1日のスプリガンの力の総量の4割は既に消費してしまった感じだ。しかし、これくらいで本気のシェルディアから逃げられただけラッキーだ。影人はそう考えた。

「・・・・・・あー、次に嬢ちゃん会いたくねえな。絶対半殺し以上は確定だ。また死ぬのは嫌だぜ」

 想像するだけで憂鬱だ。影人はいま想像した事を振り払うように首を左右に振った。

「さて、咄嗟にここに転移しちまったが・・・・・・どうするかな」

 影人が転移してやって来た場所は風洛高校の裏門だった。ここを転移先に選んだ事に特に意味はない。強いて言えば、人が居なさそうと思ったくらいだ。

「嬢ちゃんやレイゼロールから逃げる都合上、スプリガンのままじゃないといけないし・・・・・・まあ変身を解除は出来ないな。でも、スプリガンの格好のまま歩いてたら変に目立つかもしれねえし・・・・・・仕方ない。幻惑の力でもかけとくか」

 変身を解除すれば気配隠蔽の力が使えず、すぐにシェルディアが追ってくるだろう。レイゼロールもどのタイミングかは読めないが、影人の気配を捕捉し現れるはずだ。それは避けなければならない。思考の末、影人は幻惑の力で自身の見た目をどこにでもいそうな青年の姿へと変えた。

「ふむ・・・・・・これなら誰も俺って分からねえな。最初からこうして変装しておけばよかったぜ」

 手鏡を創造し自分の姿を確認した影人は満足そうに頷いた。

「気配も隠蔽したし姿も変えた。これで究極また俺を追う奴に会っても誤魔化せるだろ。まあ、会わないに越した事はねえが」

 影人は適当に頭を掻きながら裏門を軽く飛び越えた。今の影人は見た目こそ凡人だが中身はスプリガンだ。門を飛び越える事など訳なかった。

「あいつらに絶対に会わなくて、絶妙にこの辺りで、且つ暇が潰せる場所・・・・・・そんな場所がどこかに・・・・・・あ」

 影人は1つだけそんな場所に心当たりがあった。しかし、そんな時に影人の内側に声が響いた。

『影人! すみません。ようやく準備が整いました。現在、流入者の存在は確認されていないので私が地上世界に降りても問題はありません。ふふっ、お待たせしました。では地上世界でデートと――』

「あー、悪いな。そいつは無理だ。今日という日を俺と過ごすのは諦めろ。どうしても誰かと過ごしたいならレイゼロールとかとでも過ごしてろ。じゃあな」

『え? あ、ちょ影人!?』

 影人の内に響いた声はソレイユのものだった。影人は念話してきたソレイユにそれだけ答えを返すと、ソレイユとの念話を打ち切った。ソレイユは訳が分からないといった感じだったが、影人は無視した。

「イヴ。面倒いからしばらくの間、ソレイユとの繋がりを遮断するフィルターみたいなやつを俺の中に張っといてくれないか。念話は俺が意識してりゃ遮断出来るが、それ以外は遮断できないからな。どうせ、あいつずっと俺に鬼電してくるだろうし。お前なら出来るだろ?」

『は? 何で俺がそんな――』

「明日パフェ食べさせてやるから。前食いたいって言ってただろ」

『・・・・・・ちっ! 絶対だからな。嘘だったら殺す』

 甘い物に釣られたイヴは影人の言う通り、目には見えないフィルターを展開した。自分の中に何かが展開される感覚を覚えた影人はイヴに「サンキュー」と感謝の言葉を述べた。

「よし、これでソレイユの奴も大丈夫だな。くくっ、これで俺に怖いモノは何もなくなった。俺は無敵だぜ。ははははははっ」

 影人は上機嫌に笑った。そして、先程思いついた場所を思い浮かべ転移の力を使用した。


 ――前髪と前髪を追う者たちのクリスマスの逃走劇は後半戦へと至る。

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