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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
2052/2103

第2052話 スプリガンと交流会3(5)

 魅恋と海公を適当にボコした影人は、魅恋と海公にそれらしいアドバイスを行った。魅恋はモーニングスターを風で操り戦う戦闘スタイルだったので、同じ風使いの暁理の所に行くようにと。海公は片手剣を扱う守護者だったので、光司の所に行くようにと。後は、2人に共通して近距離戦のポイント、敵への観察のポイントなどを教えた。影人のアドバイスは一応真っ当なものだったので、魅恋と海公は納得し影人に感謝の言葉を述べ、それぞれ暁理と光司の場所へと向かって行った。

 問題はその後だった。影人が魅恋と海公を指導した光景を見ていたからか、または怖いもの見たさからか数人の光導姫が影人の場所に来た。影人は詳しく知らなかったが、それは陽華と明夜の友人である火凛、暗葉、典子だった。影人は仕方なく3人もボコし(3対1で)、3人にも適当にアドバイスをした。

 そして、それから徐々に影人の場所に光導姫と守護者が並び始めた。影人の場所は1度に複数人を相手どるので回転数がよく、また先に指導した者たちがアドバイスが的確だと口コミをしたため、一瞬の内に大人気となってしまった。影人は戦闘というよりかは、数十、あるいは百数十人にアドバイスを行った事に疲労を感じていた。

『この後は交流会を予定しています。食事もご用意しているので、ぜひご参加ください。もちろん参加費のようなものはありません。この機会に親睦を深めましょう』

 風音がそう言うと光導姫と守護者たちから、待っていましたという感じのざわめきが起こった。光導姫と守護者たちは楽しみといった顔を浮かべていた。

 特に、大食いのとある光導姫は「やった! 食べ放題! 今日はこれも楽しみだったんだよね!」と目を輝かせていた。その光導姫の様子を目にした影人は、相変わらずだなと少し呆れた。

(さて・・・・・・じゃあ俺は帰るか)

 交流会にまで参加する義理はないし参加したくもない。風音には既に出席しないと断りも入れている。影人は最後にスプリガンの金の瞳をとある女子――自分の妹である穂乃影に向けた。

(穂乃影・・・・・・今日はお前が頑張ってるところを見られてよかったぜ)

 普段は中々見れない光導姫としての穂乃影の姿を見る事が出来た。影人からすれば、それだけでも今日ここに来た甲斐があった。影人は一瞬、優しい兄としての目で穂乃影を見つめると、転移の力を使用し、フッと影の如くその場から消えた。

「っ、あれ・・・・・・」

 穂乃影はいつの間にかスプリガンの姿が消えている事に気がついた。

「ん? どないしたんや?」

「あ、いえ・・・・・・そう言えば、スプリガンがいなくなってるなって・・・・・・」

 穂乃影の呟きに気がついた火凛が首を傾げた。穂乃影は火凛にその事実を指摘した。

「え? あ、ホンマや。いつの間にかおらんで。かぁー、なんか流石スプリガンって感じやな。いつ消えたんって感じやで」

「ほ、本当だ。いつの間に・・・・・・も、もしかしてスプリガンって幽霊・・・・・・?」

「そんなわけはありませんわ暗葉。彼は多彩な能力を持つ実力者。私たちに気づかれずに去る方法を持っていても驚く事ではありませんわ。しかし・・・・・・彼は本当に強かったですわよね。3対1でもまるで勝てる気がしませんでしたし・・・・・・それに、全く本気でもなかった。まるで、底が見えない深淵を相手にしているようでしたわ」

 穂乃影の指摘を受け、火凛、暗葉、典子もその事に気がついた。

「あれ、スプリガンは・・・・・・?」

「消えてる・・・・・・」

「いつの間に・・・・・・」

 他の者たちも段々とスプリガンが消えている事に気づき始めた。ざわめきはやがて交流会の楽しみから、スプリガンが消えた事に対するものへと変わった。

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