第2049話 スプリガンと交流会3(2)
『では、皆さん。これから研修を行いますので、変身の準備をお願いいたします。ふふっ、せっかくですからみんなで変身しましょうか。私がカウントダウン致しますので、ぜひご一緒に』
影人からマイクを返された風音が一同にそう呼びかける。体育館に集った光導姫と守護者たちは、各自の変身アイテムを取り出し、あるいは装着。既に変身アイテムを体に身に付けていた者は、いつでも風音の合図に反応できるように待った。
『皆さん、準備はいいですか? では行きますよ。3、2、1・・・・・・ゼロ!』
「変身!」
「転身!」
「浄化の光よ!」
風音のカウントダウンと同時に様々な掛け声が響く。カウントダウンを行った風音も一拍遅れ変身の言葉を放った。そして、次の瞬間には各自の変身アイテムから眩い光が発せられ、体育館の中を照らした。それは光導姫と守護者が変身する時に生じる光であった。
数瞬間の後に光が収まると、そこには先ほどとは姿が変わった少年少女たちの姿があった。今の彼・彼女たちは正しく守護者と光導姫。非日常から日常を守る者たちだった。
(・・・・・・さすがにこれだけの数の光導姫と守護者たちを見るのは初めてだな)
一斉に変身した光導姫と守護者たちを見た影人は思わず内心でそう言葉を漏らした。100人単位の光導姫と守護者が変身した光景は中々に圧巻だった。
『では、次に場所を整えましょう』
風音は舞台の袖に置いていた真っ白いキューブに触れた。そして、「『メタモルボックス』起動。モード、プラクティスルーム」と呟くと、瞬間キューブが眩い輝きを放った。すると、体育館の中の景色が広大な真っ白い空間にガラリと変わった。
「っ、こいつは・・・・・・」
その現象に影人が金の瞳を見開く。「メタモルボックス」の効果は事前に風音から聞かされていたが、実際に目にすると中々に驚くべきものだ。『世界』の顕現とかなり似ている気がする。影人はそう思った。
「これで準備は整いましたね。では、最後にスプリガン以外の実戦相手をご紹介します。実戦相手の方は前へお願いします」
体育館の舞台とマイクといった設備も「メタモルボックス」の効果で消えたため、風音は光導姫や守護者たちと同じ目線、地声でそう言った。
「ごめんみんな! 私たち行かなくちゃ!」
「ちょっと行ってくるわ」
風音の言葉を聞いた陽華と明夜は近くにいた友人たちにそう告げると、前へと向かって行った。
「え!?」
「ふ、2人とも?」
「っ・・・・・・」
「え、マジですか!?」
「わっ・・・・・・」
「・・・・・・」
火凛、暗葉、典子、魅恋、海公が驚いた顔になる。5人は陽華と明夜から何も聞かされていなかった。穂乃影だけは別に驚いた様子を見せなかった。
「面倒だけど・・・・・・やるって言っちゃたからね」
「行こうか」
「さーて、お仕事しますかね」
「・・・・・・私の役目を果たそう」
陽華と明夜以外にも、暁理、光司、刀時、アイティレも前へと歩き始めた。
「紹介します。まず、守護者。ランキング3位『侍』とランキング10位『騎士』。次に光導姫。ランキング3位『提督』、そして私、ランキング4位『巫女』、ランキング25位『アカツキ』、そしてランキング外にはなりますが、『レッドシャイン』と『ブルーシャイン』です」
風音が自分を含めた前に出てきた者たちの守護者名、光導姫名を順番に呼ぶ。光導姫と守護者たちはとある光導姫名を聞くとザワザワとし始めた。




