表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
2048/2051

第2048話 スプリガンと交流会3(1)

「ええ!? あれがスプリガン!? ちょ、マジもんかいな!?」

「わっ・・・・・・」

「彼が・・・・・・」

 風音がスプリガンの紹介を行うと、火凛、暗葉、典子はそんな反応を示した。3人も光導姫だ。スプリガンの噂はよく知っていた。

「っ、海公っち・・・・・・」

「ええ、霧園さん・・・・・・」

 一方、スプリガンの姿を見た魅恋と海公はどこか呆然とした様子でスプリガンを見つめていた。2人にとってスプリガンは、もう1度会いたいと願っていた憧憬の対象だ。まさか、こんな場所でまた会う事が出来ると思っていなかった魅恋と海公は、未だに衝撃の感情を処理出来なかった。

「っ、スプリガン・・・・・・」

 穂乃影も驚いたようにスプリガンの名を呟く。穂乃影もスプリガンとは少しだが関わりがある。穂乃影はジッと舞台上にいる妖精の名を持つ男を見つめた。

「「「「「「・・・・・・」」」」」」

 他方、スプリガンの正体を知っている者――陽華、明夜、光司、暁理、アイティレ、刀時などは無言で舞台上のスプリガンを見つめていた。反応を言葉に出せば、周囲の者たちにスプリガンの正体がバレる可能性もゼロではないので、スプリガンの正体を知っている者たちは無言だった。

『皆さんが驚き戸惑う理由はよく分かります。なにせ、スプリガンは正体不明の怪人で、一時期は私たち光導姫と守護者の敵でした。しかし、その実は違いました。彼は長年に亘る光と闇の戦いを終わらせるために、ソレイユ様の命令の元、ずっと暗躍を行っていた私たちの味方でした。皆さんも、その事は既に知らされていると思います』

 風音は隣に立つスプリガンに視線を向けながら説明を行う。スプリガンが実は味方だったという事は、光と闇の最後の戦いが終わった翌日にソレイユとラルバから光導姫と守護者に伝えられた。そのため、風音の言うように、光導姫と守護者たちはスプリガンが味方であったという事は知っていた。

『彼は影から私たち光導姫や守護者を助け続け、今も危険があれば私たちを助けてくれています。レイゼロールの浄化、数ヶ月前の忌神との決戦も、彼がいなければ成し遂げられませんでした。そして、そんな彼が持つ経験は貴重です。【あちら側の者】の対応にも彼は慣れています。彼の持つ経験は、きっと私たちにとっても役立つ。そう思い、ぜひ今日の研修兼交流会に来て欲しいと、ソレイユ様経由で私から彼に依頼しました』

 風音がなぜスプリガンを呼んだのかといった理由をマイク越しに光導姫と守護者に伝える。ちなみに、ソレイユ経由で依頼というのは嘘だが、風音がなぜそんな嘘をついたのかというと、それは風音がスプリガンの正体を知っているという事実を隠すためだ。スプリガンは強力な認識阻害の力を身に纏っているので、正体がバレる事は基本的にはない。

 しかし、風音がプライベートでスプリガンに接触できるという立場から影人の正体がバレる事があるかもしれない。ゆえに、影人は風音と話しその辺りをボカしてもらったのだった。

(俺の経験が役立つね・・・・・・正直、絶対に役立たないと思うんだがな)

 風音の説明を聞いていた影人は内心でそう呟く。影人のスプリガンとしての経験は正直特殊過ぎる。加えて、影人の持つ力も光導姫と守護者たちとは余りにも違い過ぎる。経験の共有とは、あくまで同じような立場と能力などを前提としたものでなければ、あまり意味を持たない。少なくとも、影人はそう考えていた。

『お前と意見が被るのなんざ最悪だが・・・・・・俺もそこに関しちゃ同意見だ。お前みたいなイかれた奴の経験が凡庸な光導姫と守護者どもの役に立つわけがねえ』

(おいイヴ。俺はイかれてないぞ)

 イヴも念話で影人にそんな事を言ってくる。影人は念話でイヴに抗議したが、イヴは影人の抗議を無視した。前髪野郎がどうかしている事など、前髪野郎をよく知る者からすれば自明の理である。分かっていないのは前髪野郎だけだ。

『それではスプリガン、いえスプリガンさん。ぜひ一言お願いします』

 風音が影人にマイクを渡して来る。影人は仕方なくマイクを受け取った。

『・・・・・・スプリガンだ。この中には実際に俺と出会い、戦った奴もいるかもしれないが・・・・・・まあ今の『巫女』の説明通りだ。よろしく頼む』

 影人はスプリガンとして光導姫と守護者たちにそう言葉を述べる。光導姫と守護者たちは未だに驚き戸惑っていたが、パチパチと拍手した。静かな拍手の音が体育館内に響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ