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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
2047/2051

第2047話 スプリガンと交流会2(4)

「・・・・・・」

 昼休憩を終えた穂乃影は再び第3体育館に来ていた。現在の時刻は午後1時過ぎ。午後の研修開始時刻は1時15分からなので、もう少しすれば開始の時刻だ。穂乃影の他にも、既にほとんどの光導姫と守護者が体育館に戻っていた。

「あ、穂乃影ちゃん!」

 穂乃影が暇つぶしのためにスマホを操作していると自分の名を呼ぶ声が聞こえてきた。穂乃影はスマホの画面から顔を上げた。

「っ、朝宮さん・・・・・・」

 穂乃影の視線の先にいたのは陽華だった。陽華は穂乃影に向かってパタパタと手を振りながら、穂乃影の方に近づいて来た。

「こんにちは! 久しぶり!」

「こんにちは。はい、お久しぶりです」

 元気いっぱいに挨拶してきた陽華に穂乃影も挨拶の言葉を返す。穂乃影は明る過ぎる人間は正直苦手なのだが、陽華の明るさは相変わらず嫌なものではなかった。

「ん? なんや、去年の研修の時の補助係の人か。あの時はえらいお世話になりましたな。おかげさんで、今も生きてますわ」

「お久しぶりです『影法師』殿。その節はありがとうございました」

「わ、私も・・・・・・ありがとうございました」

 陽華の近くにいた火凛は穂乃影の姿を見るとペコリと頭を下げた。典子、暗葉も同じく穂乃影に頭を下げる。穂乃影は「い、いえ・・・・・・」と自身もお辞儀をした。魅恋と海公も穂乃影に会ったのは初めてだったが――穂乃影は今年の夏の研修には参加していない――雰囲気的に穂乃影にお辞儀を返した。

「っ、陽華。この子が穂乃影ちゃんなのね」

 陽華から穂乃影の話を聞いていた明夜は驚いたようなどこか緊張したような顔を浮かべた。

「うん。そうだよ。帰城くんの妹さん」

「「え!?」」

 陽華の言葉を聞いた魅恋と海公が一転衝撃を受けた顔になる。明夜は陽華の隣に並ぶと穂乃影にこう言った。

「初めまして、穂乃影ちゃん。いや、正確には去年の研修で顔を合わせているから、初めましてではないんだけど・・・・・・月下明夜です。あなたのお兄さん、帰城くんにはそれはそれはお世話になっているわ。よろしく」

「え、あ・・・・・・ど、どうも」

 明夜は手を差し出して来たので、穂乃影は明夜の手を軽く握り返した。

「あの、あの人・・・・・・兄にお世話になってというのは・・・・・・」

 信じられない言葉を聞いた穂乃影が明夜にそう聞き返そうとする。しかし、その前に魅恋と海公が穂乃影に言葉を掛けてきた。

「嘘!? 影人の妹なん!? えー、凄い! これって一種の運命じゃない!? あ、私は霧園魅恋! 影人のクラスメイトです! 穂乃影ちゃん超可愛いね!」

「同じく帰城さんのクラスメイトの春野海公です。僕も帰城さんにはいつもお世話になっています。妹さんがいるとは聞いていましたが・・・・・・まさか、光導姫だったなんて。驚きました」

「ク、クラスメイト・・・・・・」

 先ほどの魅恋と海公とは逆で、2人の自己紹介を聞いた穂乃影が今度は衝撃を受けた顔になった。なぜこんな場所で影人のクラスメイトと会うのだろうか。しかも、ここにいるという事は光導姫と守護者だ。穂乃影は色々と理解が追いつかなかった。

『皆さん、お待たせいたしました。それでは、これより午後の研修を始めます』

 そんなタイミングで、舞台に上がった風音がアナウンスを行った。体育館に集合していた光導姫と守護者たちの注目が舞台上の風音に集まる。当然、陽華、明夜、火凛、暗葉、典子、魅恋、海公、穂乃影も視線を舞台上に向けた。

『午後の研修は実戦形式で行います。闇奴や闇人との戦いは常に死の危険が伴いましたが、【あちら側の者】の中にも凶暴な者はいます。残念ながら、私たちはそんな者たちと戦う事もあります。そして、それには当然死の危険も伴います。午後の研修は皆さんの現在の実力を測るためにも、実力者たちと戦っていただきます。そして、戦いを通して実力者たちの経験も共有していただけたらと思います。皆さんと戦っていただく光導姫、守護者が誰なのか後で紹介いたしますが・・・・・・まずは、特別なゲストの方から紹介いたしましょう。どうぞ』

 風音が舞台袖に顔を向ける。すると、舞台袖から1人の男が現れた。

「・・・・・・」

 男は夜の闇の如き者だった。服装は、鍔が長い黒のハット状の帽子に黒の外套。胸元を飾るは深紅のネクタイ。紺のズボンに黒の編み上げブーツ。

 帽子から覗く髪の色は黒で、顔は整っていた。男の瞳の色は、月の如き金色だ。その男の姿を見た光導姫と守護者たちは騒ついた。

「え、嘘・・・・・・」

「おい、あの容姿ってまさか・・・・・・」

「私、知ってる・・・・・・1度だけ彼に会った事がある・・・・・・」

 光導姫と守護者たちは皆驚き戸惑っていた。男は光導姫と守護者の反応などには目もくれず、風音から少し離れた場所で止まった。

『初めて会う方が圧倒的に多いでしょうが、皆さんはこの方のことをきっと知っていると思います。何せ、彼は私たち光導姫・守護者の中では有名人ですからね。では、ご紹介しましょう。本日の特別ゲスト――スプリガンです』

 そして、風音は光導姫と守護者たちにそう言った。

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