第2027話 熱血、ドキドキ、体育祭1(3)
『――次の競技は障害物競争です。参加者は体育倉庫前に集合してください』
影人が体育館裏の階段の下のスペースで海公と話していると、そんなアナウンスが聞こえて来た。
「・・・・・・もうそんな時間か。・・・・・・しゃあねえ、行くか。俺はこれに出なきゃだから、また後でな。春野」
「あ、はい。帰城さんの勇姿、しっかりと見させていただきます。頑張ってください」
「ありがとな。ま、ほどほどにやるよ」
グッと両手の拳を握る海公に影人は苦笑した。そして、集合場所である体育倉庫前に移動した。
「けっこういるな・・・・・・」
体育倉庫前には障害物競争に参加する生徒たちが大勢集まっていた。
「赤組の方はこちらの方に集まってくださーい!」
「白組の方はこちらの方にお願いしまーす!」
体育倉庫前にいる女子生徒たちがそれぞれ声を上げ、生徒たちを誘導する。影人は赤組なので、赤組の方へと向かった。
「ああ、そうだ。これ巻いとかないとだよな」
影人はポケットから赤いハチマキを取り出すと、それを頭に巻いた。影人は、ハチマキは熱血キャラみたいなイメージを持っているのであまり巻きたくはないのだが、ルールなので仕方がない。
「あ、帰城くんだ! 帰城くんも障害物競争に出るんだね!」
影人が赤組の列に並んでいると、陽華が影人に向かって手を振って来た。陽華の頭には白いハチマキが巻かれていた。
「げっ、運動バカゴリラ・・・・・・」
「それ私の事!? ひ、酷いよ帰城くん! 女の子に向かって!」
「うるせえよ。お前が女の子ってタチか。というか、お前は敵だろ。ほら、しっし。あっち行け」
ショックを受ける陽華に影人は手で追い払う仕草を行う。すると、こんな声が影人の耳を打った。
「うわ、前髪が朝宮さんをイジめてる・・・・・・通報しなきゃ」
「ふざけろ。そんな理由で通報されてたまるか。あと、誰が前髪だ。俺は人だ。前髪じゃない。訂正しろ、暁理」
影人が振り返ると、そこには暁理がいた。暁理はみんなと同じ体操服姿で、頭に影人と同じ赤いハチマキを巻いていた。暁理はゴミを見るような目で影人を見つめて来た。
「乙女に対して暴言を吐くような奴を人扱いするわけないだろ。あー、嫌だ嫌だ。こんな奴と同じ組だなんて。朝宮さん、気にする事ないよ。お互いに頑張ろう」
「うん! ありがとう、早川さん! でも、負けないよ! 勝つのは私たち白組だから!」
「強気だね。でも、僕たち赤組も負けるつもりはないよ」
陽華と暁理は互いに強気な笑みを浮かべながら、視線を交錯させた。2人の間にはバチバチと見えない火花が散っているようだった。
「・・・・・・体育祭本気の奴らは怖いな」
その様子を見ていた影人がそう呟く。そして、しばらくして、影人たちは運動場へと入場した。
『さあ、お次の競技は障害物競争です! 体育祭といえばお馴染みですよね! それでは、選手の入場です!』
司会兼実況役の女子生徒がマイクを通してアナウンスを行うと、BGMが選手入場用のものに変わった。影人たち障害物競争の選手は運動場に入場し、所定の位置まで移動した。影人は最後に走るので最後尾で入場した。
ちなみに、何の因果か、陽華や暁理も影人と同じく最後尾だった。影人は自分の運の無さを呪いまくった。




