第2003話 前髪野郎と光の女神4(1)
「ちょっと帰城くん! 決められたのは仕方ないとしても、アレはどうなの!? やりたい事は分からないでもないけど、一応これ勝負なのよ! もうちょっと真面目にやりなさい!」
「す、すんません・・・・・・」
休憩時間。赤チームのミーティング。真夏は少し怒った口調で影人にそう言った。影人は返す言葉もないといった様子でしょんぼりとしていた。
「まあまあ、真夏くん。帰城くんも決してふざけていたわけではないと思うよ。きっと真剣そのものでアレだったんだよ」
「だったら尚更タチが悪いわよ! とにかく、次からは気をつけてよね帰城くん!」
「は、はい」
ロゼの擁護(?)の言葉に真夏が思わずそうツッコむ。全く以て真夏の言う通りである。前髪野郎は深く頷いた。
「取り敢えず、後半は攻めなければなりませんね。私たちもラルバかロゼを攻撃陣に移しますか?」
「そうしましょう! 守ってたら勝てないわ。まずは点を取らなきゃ! リスクは必要経費よ!」
「確かに、そうした方がゴールを狙う機会は増えるだろうね。だが、向こうのチームはリードしているからといって守備を固めるような気質ではない。更に得点を狙ってくるはずだ。その場合、有効なのは・・・・・・」
「カウンターだね。うん。向こうの編成ならカウンターは十分に狙える。俺は布陣は今のままでいいと思うな」
ソレイユ、真夏、ロゼ、ラルバがそれぞれの意見を述べる。話し合いの結果、布陣は変えず、基本はカウンターを狙い、カウンター時に全員で攻めるという作戦になった。
「いい感じだよ! この調子で後半も頑張ろう!」
「大丈夫。私たちなら勝てるわ」
「当たり前だ。もっと点を入れて圧勝してやる」
「うん。みんなで勝とう」
「頑張ってくださーい・・・・・・」
一方、陽華、明夜、レイゼロール、光司、キベリア、青チームのミーティングはそんな調子で終わった。そして、ピッとホイッスルが鳴る。
「10分が経過しました。後半戦を開始します。コートを入れ替えます。両チーム、配置についてください」
「ふふっ、現在2対1で青チームがリード中ね。ここからどうなるか楽しみだわ」
主審であるイズの言葉で、赤チームと青チームがコートの中に入る。観戦者であるシェルディアは優雅にそんな感想を述べた。
「後半は青チームからです。では、後半戦開始」
「ふん」
イズの宣言により後半戦が開始される。最初にボールに触ったのはレイゼロールだった。レイゼロールは明夜にボールをパスした。
「今度は私が点を決めてみせるわ!」
ボールを受け取った明夜がドリブルで赤チームの陣地へと攻め入る。そんな明夜に対処したのはソレイユだった。
「これ以上点はあげないわよ! 逆に私がハットトリックを決めてやるわ!」
「それは欲張り過ぎですよ会長!」
真夏が明夜からボールを奪おうとし、明夜はそうはさせまいとボールをキープする。明夜は一旦レイゼロールにパスを戻した。
「レイゼロール!」
「我に催促するか。気に食わんな。だが・・・・・・いいだろう」
陽華が手を挙げパスを促す。レイゼロールは自分で少しだけボールを運ぶと、陽華にパスを出した。
「やらせませんよ!」
しかし、ソレイユが急にパスコースに現れ、レイゼロールから陽華へのパスをカットした。




