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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1998/2051

第1998話 前髪野郎と光の女神3(1)

「真夏、お願いします」

「任されたわ!」

 試合開始のホイッスルが響くと同時に、ソレイユは真夏にバスを出した。ソレイユからボールを受け取った真夏は、早速ドリブルで敵の陣地へと切り込んでいく。

「ふはははは! 私の華麗なドリブル捌きで全員ごぼう抜きよ! 退きなさい名物コンビにレイゼロール!」

「行かせないよ会長!」

「ええ!」

 真夏の前に陽華と明夜が立ち塞がる。2人は流石のコンビネーションで真夏に激しいディフェンスを仕掛けた。

「くっ、やるわね! でも、サッカーは個人戦じゃないのよ! ソレイユ様!」

 1人では陽華と明夜を抜く事が難しいと判断した真夏が、ソレイユにパスを出す。真夏は我が強い性格だが、周りが見えていないというわけではない。そうでなければ、光導十姫に名を連ねる事も、生徒会長という役職を任される事もないからだ。

「はい!」

 真夏からパスを受け取ったソレイユが右サイドから青チームの陣地に攻め入る。だが、そんなソレイユの行方をレイゼロールが遮った。

「っ、レール・・・・・・」

「・・・・・・勝負である以上、貴様らには負けん。ソレイユ、そのボールを頂くぞ・・・・・・!」

 レイゼロールは右足でソレイユの持っているボールを取ろうとした。だが、ソレイユはボールを動かし、レイゼロールの足を避けた。

「それはこちらも同じです・・・・・・! レール、元々の運動センスは私の方が優っていたという事実を思い出させてあげますよ!」

 ソレイユはレイゼロールの左半身側に向かってボールを蹴りドリブルを行った。

「くっ!? キベリア!」

「え、え!?」

 ソレイユに抜かれてしまったレイゼロールが後方にいたキベリアの名を呼ぶ。だが、キベリアは闇人としての力を解放しなければかなりの運動オンチだ。そのため、当然というべきか、キベリアはソレイユを止めきれなかった。

「っ!」

 ディフェンダーであるキベリアを抜いた事によって、ソレイユが青チームのゴールキーパーである光司の前に立つ。光司は真剣な顔でソレイユと、ソレイユの持つボールを注視した。

「ソレイユ様!」

 ソレイユがシュートを打つか、ギリギリまでドリブルで距離を詰めるかを考えていると、そんな声が聞こえてきた。チラリとソレイユが声の聞こえた方に視線を向けると、中央から出てくる真夏の姿が見えた。真夏の背後には陽華の姿があり、明夜は急いでソレイユに向かって距離を詰めてきた。

「真夏!」

「くっ!?」

 この状況ならパスを出した方がシュートが決まる確率が高いと判断したソレイユが、真夏に向かってパスを出す。明夜はそのパスをカットしようとしたが間に合わなかった。

「ナイスパス! さあ、記念すべき・・・・・・先制点よ!」

 陽華を振り切った真夏はソレイユからのパスを受け取ると、そのまま右足で鋭いシュートを放った。

「くっ!」

 光司は何とか真夏のシュートに反応し手を伸ばしたが、光司の手はボールに弾かれた。結果、真夏の放ったシュートは青チームのネットを揺らした。

「ゴール。赤チームに1点追加です」

 審判であるイズがそうアナウンスする。シュートを決めた真夏は「よっしゃ!」とガッツポーズをした。

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