第1996話 前髪野郎と光の女神2(3)
「サッカーのルールは先ほど学びました。完全に公平なジャッジをお約束します。ただし、帰城影人に限ってはその限りではありませんが」
「何で俺だけなんだよ! どこが完全に公平なジャッジだ!」
影人がイズに抗議の声を上げる。イズは「冗談です。そんな事も分からないんですか。相変わらず愚かですね」と無表情に言って退けた。
「最後にルールの確認よ。基本的には現行のサッカーのルールと同じ。オフサイドに関しては、人数が少ないからなし。ここはフットサルと同じね。キーパーはつけてもつけなくてもどちらでもいいわ。あと、当然だけどレイゼロールは神力の使用は禁止。光導姫、守護者、影人も変身は禁止よ。フェアに戦わないと面白くないから。前半20分。休憩10分。後半20分の時間配分よ。分かったわね?」
シェルディアが両チームの選手たちに確認を取る。両チームとも特に反対意見は出なかった。
「よろしい。では、第1回サッカー大会を始めるわ。両チーム整列」
シェルディアがそう呼びかけると、赤チームと青チームがコートのハーフウェーラインに向かい合うように整列した。
「イズ。後はお願いね」
「はい」
主審であるイズが首から闇色のホイッスルを下げながら(ホイッスルもレイゼロールが創造した)、両チームの元へと向かう。イズは1度両チームの面々を確認すると、こう言葉を放った。
「これより赤チーム、帰城影人、女神ソレイユ、男神ラルバ、榊原真夏、ロゼ・ピュルセ、対、青チーム、朝宮陽華、月下明夜、女神レイゼロール、香乃宮光司、闇人キベリアによるチーム対抗戦を行います。両チーム、握手を」
「よろしくね帰城くん! いい勝負にしよう!」
「暑苦しいなおい。だが、負ける気はねえぜ」
「対戦よろしくお願いします、ソレイユ様」
「はい。こちらこそ。ふふっ、負けませんよ明夜」
「えーと・・・・・・まあ、よろしくレール」
「・・・・・・ふん」
「はっはっはっ! ボコボコにしてあげるわ副会長! 覚悟なさい!」
「榊原先輩は敬愛する先輩ですが、忖度はしませんよ。今日は勝たせていただきます」
「よろしく頼むよ」
「何で光導姫と握手なんか・・・・・・あー、はいはい。分かったわよ」
陽華と影人、明夜とソレイユ、ラルバとレイゼロール、真夏と光司、ロゼとキベリアがそれぞれ握手を交わす。握手を交わした選手たちは、それぞれのコートに移動した。
「ゴールキーパーはどうしますか?」
「流石につけといた方がいいだろ。俺がやる。ちょうどゴールキーパーの主人公が有名なゲーム世代だからな。安心しろ。ゴールキーパーの極意はサンダーゲート中のキャプテンから学んだ。シュートは全部止めてやるぜ」
「なるほど! 円◯守ね! なら、私はさしずめエースストライカーの豪◯寺修也! 安心しなさい! 私が敵のゴールにシュートをぶち込んで来てあげるわ!」
「ふむ。イナズ◯イレブンか。なら、私は風◯一郎太を見習ってディフェンスにでも徹しようかな」
「え、ピュルセさんイナ◯レ知ってるんですか?」
「まあね。私は芸術家。日本のサブカルチャーにも網を張っている。アニメもゲームも体験済みだよ」
「本当!? じゃあ『芸術家』、またどっかでゲームの対戦しましょうよ! ちょうど家にD◯2台とカセットあるから! 昔はお姉ちゃんとよく対戦してたのよ!」
「ほう。それはそれは。いいね。ぜひやろう」
「へえ。いいっすね。俺もまだ家にゲームのデータ残ってるんで、今度対戦していいですか? 無印、2、3どれでやります? 別にGOシリーズでもいいですよ」
「あら珍しく乗り気じゃない帰城くん! いいわね! 後で日程決めましょ!」
「「???」」
盛り上がっている影人、真夏、ロゼの人間組に対して、ソレイユとラルバの神組はよく分からないといった様子で首を傾げた。




