第1995話 前髪野郎と光の女神2(2)
「・・・・・・何がどうしてこうなった」
約1時間後。影人は天に真紅の満月輝く無限に思える荒野にいた。つまるところ、シェルディアの『世界』にだ。影人は黒の半袖に紺の半パンを纏い、赤いビブスを着ていた。
「ここがシェルディアの『世界』ですか。美しも、どこか少し悲しい『世界』ですね・・・・・・」
影人と同じく赤いビブスを着たソレイユがシェルディアの世界を見渡した。
「あはは! いやー、まさかソレイユ様とサッカーやる事になるとは思わなかったわ! 人生って本当不思議ね!」
上下黒のジャージ姿で笑い声を上げたのは真夏だった。真夏も、影人やソレイユと同じく赤いビブスを身に纏っていた。
「うーん、ソレイユにお願いがあるって言われて、張り切って地上に降りてみたら・・・・・・まさかスポーツの数合わせ要員だったなんて。いや、今は仕事がないから別にいいんだけどさ・・・・・・」
何とも微妙そうな様子でそう呟いたのはラルバだ。ラルバは青いシャツに動きやすい長ズボンという格好で、赤いビブスを装着していた。
「ふむ。何とも美しい景色だ。サッカーが終わったらぜひ1枚描きたいね」
白いシャツにストレッチの聞いたジーパンという、ラルバと同じような服装でロゼがそう呟く。ロゼのビブスの色も、影人、ソレイユ、真夏、ラルバと同じく赤であった。
「ワクワクするね明夜! 絶対勝とうね!」
「ええ。私たちのコンビっぷりを見せつけてやりましょう」
影人と同じように半袖半パン姿でそう言ったのは、陽華と明夜だ。2人は青いビブスを着ていた。
「・・・・・・なぜ我がこんな事を」
呪うように嘆くようにそう声を漏らしたのはレイゼロールだ。レイゼロールはいつもの服装に、不似合いな青いビブスを装着していた。
「まさか帰城くんとサッカーが出来るなんてね。敵なのが残念だけど、存分に楽しませてもらうよ」
「何で私がサッカーなんか・・・・・・スポーツなんかこの世から消えればいいのよ・・・・・・」
爽やかな笑みを浮かべたのは光司で、絶望しきった顔になっているのはキベリアだ。光司はスポーティーなジャージを、キベリアは野暮ったい臙脂色のジャージを纏い、上半身に陽華、明夜、レイゼロールと同じ青色のビブスを着ていた。
「さて、準備は出来たわね。じゃあ、これから5対5のサッカー戦を始めるわ。赤チームは影人、ソレイユ、ラルバ、真夏、ロゼ。青チームは陽華、明夜、レイゼロール、光司、キベリア。私は観戦で、審判はイズが務めるわ」
シェルディアがコート内にいる赤チームと青チームに対してそう説明する。シェルディアの言うように、影人たちはサッカーのコート内にいた。コートは普通のサッカーのコートよりも小さく、フットサルのコートよりは大きいというもので、地面には黒いラインが走っており、そのラインがコートを形成していた。ゴールも闇色のゴールがコートの端に2つ、コートの中央に闇色のボールが鎮座していた。コートやサッカーに必要な道具を創ったのは、いずれもレイゼロールだった。
ちなみに、シェルディアが真夏やロゼ、光司の名前を呼んだのは、この前の祭りで一緒だったこと、結構な頻度で顔を合わすことなどがあり、珍しく名前を覚えたからだった。




