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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1992/2051

第1992話 前髪野郎と光の女神1(3)

「それより、どこに遊びに行くんですか? 私、地上はあまり詳しくないですよ」

「そうだな・・・・・・ソレイユ、お前外で遊ぶのとどっかの中で遊ぶのとどっちが好きだ? まあ、要はアウトドア派かインドア派かって事なんだが」

「うーん、そうですね。私はどちらかと言うと、外で体を動かす方が好きですね。でも、室内で遊ぶのも好きですよ」

「やっぱりアウトドア寄りか。まあ、お前無駄に活発だもんな。性格やら雰囲気やらが」

「・・・・・・それ、バカにしてます?」

「別にー」

 ソレイユがジトっとした目を影人に向ける。影人はシラを切った。

「なら適当に公園で遊ぶか。クソ暑いけど」

「えー・・・・・・別に、悪い事ではないですけど、いい歳したあなたと私が公園で汗だくになってはしゃぐのってどうですか。今の時代は色々と厳しいのでしょう。特にあなたなんて通報されませんか?」

「何で普通に公園で遊ぶだけで通報されなきゃならねえんだよ!」

「いや、だってあなたですし・・・・・・」

 ソレイユが何を当然のことをといった顔になる。影人は「俺だからなんだよ!?」と軽くキレた。この前髪野郎は、哀れ中の哀れな存在なので、自分の不審者レベルが宇宙である事を理解していなかった。

「ちっ! じゃあ、適当に散歩してアイデア考えるぞ。最初はそれでいいな?」

「ええ。ふふっ、じゃあ行きましょうか。あなたに女神である私をエスコートする事を許します」

「けっ、冗談じゃないぜ。何で俺がお前をエスコートしなきゃならねえんだ。・・・・・・だが、分かったよ。今日だけだぜ、女神さま」

 どこかイタズラっぽく笑うソレイユに、影人は仕方ないといったように自身も笑みを返した。

 影人とソレイユは夏の抜けるような青空の下、並んで歩き始めた。











「ふぅ・・・・・・生き返るぜ。ほらよ、ソレイユ」

 自販機で買ったスポーツ飲料で喉を潤した影人は、同じく自販機で買ったミネラルウォーターをソレイユに向かって投げた。

「ありがとうございます。でも、別に神は脱水症状にはなりませんからよかったのに」

「それでも地上にいれば喉は渇くんだろ。いいから飲んどけよ。俺も1人で飲むのはアレだからな」

「分かりました。ではいただきます。ふふっ、なんだかんだあなたは優しいですよね」

 ソレイユはペットボトルのキャップを開けると、口に水を流し込んだ。ゴクゴクと水を飲んだソレイユは「ぷはっ」とペットボトルから口を外した。

「美味しいですね。陳腐な表現ですが、生き返る気分です」

「空腹が最高のスパイスになるみたいに、飲み物も環境によって美味さが変わるからな。暑い時には冷たい飲み物を、寒い時には温かい飲み物を飲むと、普段よりも美味く感じる」

「当たり前ですが、確かにそうですね。それにしても・・・・・・ここはいい場所ですね」

 ソレイユが周囲に視線を向ける。ここは自然豊かな公園で、背の高い木が群生しており、木の葉が太陽を遮ってくれているためかなり涼しく、散歩に適した場所だった。

「だろ。俺も嬢ちゃんから教えてもらったんだ。お気に入りの散歩コースなんだとよ。向こうに小さいが川もあるぜ」

「へえ、それはぜひ行ってみたいですね。でも、女性と2人きりでいる時に、別の女性の話題を出すのはあまり褒められた事ではありませんよ」

「女性の話題って・・・・・・別に誰から教えてもらったって事だけじゃねえか」

「それでもですよ。全く、相変わらずあなたにはデリカシーというものがありませんね」

「・・・・・・分からん」

 影人は理解する事を諦めた。影人とソレイユは少しの間休憩すると、散歩を再開した。

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