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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1991/2051

第1991話 前髪野郎と光の女神1(2)

「・・・・・・ちっ、ガキみてえな奴。そういうところは昔から変わってねえな」

「素直と言ってください。別にいいところは変わらなくてもいいんです」

「・・・・・・まあ、そうだな」

 影人は珍しくソレイユの言葉に同意した。そして、こう言葉を続けた。

「じゃあ、適当に遊びにでも行くか。ほら、地上に行くぞソレイユ。転移の準備しろよ」

「え?」

「え、じゃねえよ。もう用件が終わったなら暇だろ。幸い、まだ俺は夏休みだ。時間はある。まあ、外はクソ暑いが・・・・・・暑さに負けないくらい楽しめばいい」

「あ、あなたと地上に遊びに・・・・・・う、嬉しいですし楽しそうですけど、私はここを離れるわけにはいきません。まだ世界間の境界が不安定で、流入者が地上世界に迷い込む可能性があります。私には光導姫を派遣したり、流入者を元の世界に返還する使命が――」

「その時はその時で神界に戻りゃいいだろ。お前もたまには息抜きしろ。お前は確かに神かもしれねえが、それでも疲れたりストレスは溜まるんだろ。自分のメンタルをコントロールするのも大事な事だぜ」

 ソレイユの言葉を遮り、影人がそんな意見を述べる。影人の意見を受けたソレイユは少しの間迷ったような顔を浮かべると、やがて軽く両の目を閉じた。

「・・・・・・まあ、そうですね。確かに、あなたの言うことも一理あります。珍しくいい事を言いますね」

 先ほどは影人が珍しくソレイユに同意したが、今回はソレイユが影人に同意した。影人は「俺は常にいい事しか言わねえよ」とソレイユに対し軽口を叩いた。

「よし、そうと決まれば地上を堪能するとしましょうか。影人、今日は楽しみますよ!」

「当たり前だ。全力で遊ぶのが俺のモットーだからな」

 明るく笑ったソレイユに影人もニヤリと笑みを返す。それから少しして、影人とソレイユは地上へと降りたのだった。












「あ、暑い・・・・・・地上の夏ってこんなに暑かったですか・・・・・・?」

 地上に降りたソレイユの最初の言葉はそんなものだった。ソレイユは地上を照らす灼熱の太陽から逃げるように木陰に入った。ソレイユの格好はいつかの時と同じ桜色のワンピースだった。

「今日はまだマシな方だけどな。でも、年々暑くなってるのは間違いない。俺が小さかった頃は、ここまで暑くはなかったからな。つーか、お前そんなに肌出して、日焼けとかは大丈夫なのか」

「神力でどうにでもなるので大丈夫です。私たち神は一定の年数を生きると、姿をある程度自在に変えられますから。日焼けなど肌関係の事も変化の対象に含む事が出来ます」

「あー、ガザルネメラズさんも確かそんなこと言ってたな。ってことは、お前子供の姿にもなれるって事だよな。ちょっくら試しに子供の姿になってみてくれよ。久しぶりにチビのお前見たいし」

「絶対に嫌です。というか、そもそも私は地上では神力は使えませんし」

 ソレイユが本当に嫌そうな顔を浮かべる。影人は「ちっ、つまんねえな」と面白くなさそうな様子でそう呟いた。

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