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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1978/2051

第1978話 前髪野郎と闇の兄妹1(2)

「・・・・・・ああ。お前に頼むのも癪だが、これは元はと言えば、お前が引き込んだ問題だ。つまり、お前には我の頼みを聞く義務がある」

「俺が引き込んだ問題? なんだよそれ」

 レイゼロールの示唆する問題に心当たりがなかった影人は軽く首を傾げた。

「・・・・・・何か痛いって声が聞こえたけど、大丈夫なの?」

 そんな時、コンコンコンと影人の部屋のドアがノックされた。ノックをしたのは穂乃影だ。影人の部屋から独り言が聞こえてくるのはよくある事なので、いつもは無視するのだが、今日は悲鳴に近い声が上がったので、穂乃影はそう聞いたのだった。

「やべっ! レイゼロールお前どうにかして隠れろ・・・・・・! 早く・・・・・・!」

「なぜだ」

「なぜだもクソもねえよ・・・・・・! 俺の部屋に女がいたら、不審極まりねえだろ・・・・・・! しかも、穂乃影は、俺の妹は光導姫なんだよ・・・・・・! だから、お前を見たら余計にややこしくなる・・・・・・!」

 ヒソヒソ声で影人は必死にレイゼロールにそう言った。レイゼロールは「ちっ、面倒だな」と呟くと、次の瞬間スッと姿を消した。透明化の力を使ったのだろう。

「? 入るよ」

 返事がない事を不審に思ったのか、穂乃影がドアを開ける。レイゼロールが消えたのと穂乃影がドアを開いたのは間一髪の差だった。

「ど、どうしたんだ穂乃影?」

 穂乃影の姿を見た影人がぎこちない笑みを顔に張り付かせる。穂乃影は1度部屋を見回すと、影人に顔を向けた。

「どうしたって、痛いって大きな声が聞こえてきたから・・・・・・あなたの事だから、転けたり足の指でもぶつけたのかなと思っただけ」

「あ、ああ。実はさっき小指をイスにぶつけちまってよ。でも、痛みも引いてきたからもう大丈夫だ。心配かけて悪かったな」

「・・・・・・別に心配はしてない。勘違いしないで。大丈夫そうならいい」

 穂乃影はそう言うと、フイと影人から顔を背けドアを閉め、影人の部屋から出て行った。穂乃影が出て行って数秒して、影人は大きく息を吐いた。

「はあー・・・・・・あ、危なかったぜ・・・・・・」

 影人がそう声を漏らした数秒後、透明化していたレイゼロールが力を解除し姿を現した。レイゼロールはチラリとそのアイスブルーの瞳を影人に向けた。

「・・・・・・あれが貴様の妹か。お前とはあまり似ていないな」

「ああ、まあそこにはちょっとした理由があってな。でも、似てる似てないとかは正直どうでもいいだろ。あいつは俺の妹だ。兄妹だ。大事なのはそこだろ。お前にも兄妹がいるんだから分かるはずだぜ」

「・・・・・・そうだな」

 レイゼロールが素直に影人の言葉に頷く。そして、レイゼロールは続けてこう言った。

「だが、兄妹といえども問題がないわけではない。お前が引き込んだ問題というのは、まさにそれだ」

「っ、兄妹の問題・・・・・・? レゼルニウスの奴がどうかしたのか」

 レイゼロールの兄妹といえば、今は冥界の神となっているレゼルニウスしかいない。

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