第1974話 夏だ、祭りだ、ハチャメチャだ8(4)
――そう思われたのだが、
「「「「「う・・・・・・うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」」
次の瞬間、男性の観客たちから怒号のような歓声が上がった。
「感動したぜ!」
「心に来たぜ! 最高だあんたら!」
「真の歌と真の音楽を聞いたッ! こんな気持ちは久しぶりだ! サンキュー!」
「年甲斐もなく興奮したわい! 若い頃を思い出すのう! ぬぉぉぉぉぉ! 滾ってきたぞ!」
「俺も弾丸になるぜ!」
「今夜は最高の夜だ!」
男の観客たちは若い老い関係なく盛り上がっていた。女性の観客たちは男の観客たちに対し、「え、マジ?」的な目を向けていた。
「なあ・・・・・・見てみろよ。お前ら。この光景を。俺たち・・・・・・やったな」
「ああ・・・・・・」
「俺たちの思いがみんなに届いたんだな・・・・・・」
「最高のファーストライブだったぜ・・・・・・」
「やべえ。何か涙が・・・・・・」
「今日は記念すべき日だな・・・・・・」
A、B、C、D、E、Fの6人は満足しきった顔を浮かべていた。もちろん、Gこと前髪野郎も。前髪野郎は歓声をその身に浴びながら、マイクを進行役の男性に返した。
『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! 猛烈に感動しました! 帰城くん、それにバックバンドの皆さん! 素敵で熱い歌をありがとうございました! フゥー! 皆さま、どうかこの最高のロックンローラーたちに盛大な拍手をお願いします!』
進行役の男性も興奮していたようで、先ほどまでとは全く違う様子で、マイクに向かってそう言った。途端、凄まじい拍手の音が広場を支配した。
――こうして、影人と光司の最後の勝負は、まさかまさかの、互角の様相を呈したのだった。
「うん。2人とも良かったわ。いい勝負だったわね」
パチパチと手を叩きながら、シェルディアが影人と光司を讃えた。
「・・・・・・まあ、何か結果そうなっちゃったね。よく分かんないけど」
「あはは、奇跡を起こすのは影くんの得意技だね」
「・・・・・・男って生き物は本当によく分からないわね」
「うーん、まさか男たちに受けるなんてね。不思議だわ」
暁理、ソニア、キベリア、真夏がそんな感想を漏らす。一部の色々と特殊な者たち――具体的には、キトナ、芝居、光司、ロゼ、白麗など――以外は4人と似たような感想を抱いていた。
「ふっ、俺たちの熱い想いが伝わったんだ。あれくらいの歓声は上がるに決まってるだろ」
「そうだな」
「ああ。想いの力だ」
「まあ野郎にしか伝わってなかったが気にする事はない」
「ああ。それでいいんだ」
「次は女性にも伝えてみせるさ」
「目指せバーニングアンドバーニングだ」
Gことゴキブリ野郎、ではなく前髪野郎がフッと格好をつけて笑う。それに同調するように、そのまま影人について来ていた、A、B、C、D、E、Fの 6バカがうんうんと頷いた。
「陽華、明夜。耳を塞いでください。この者たちの言葉を聞いていたら、頭が悪くなります」
「い、いやそれはないからイズちゃん! ・・・・・・た、多分!」
「そ、そうよイズちゃん。陽華の言う通りよ・・・・・・た、多分!」
イズが7バカに対して軽蔑の目を向ける。陽華と明夜は基本いい子なので、一応フォローを入れた。それでも、推量の言葉をつけずにはいられなかったが。




