第1968話 夏だ、祭りだ、ハチャメチャだ7(3)
「どうしたのシェルディアちゃん?」
「実は、影人とそこの彼の最後の勝負について提案があるの。賛成かどうか聞きたいから、答えてちょうだい。ああ、影人とあなたは少し離れていてね。当事者が聞けば驚きも楽しみもないでしょうから」
明夜が首を傾げ、その場の全員の言葉を代弁する。そして、シェルディアは皆にそう告げた。
「へえ、面白そうじゃない」
「確かに、そろそろ花火だもんね。そろそろ見世物は決めとかないとだ」
「どんな方法なのですか?」
真夏、暁理、キトナがそう反応し、他の者たちも3人と似たような反応になる。影人もシェルディアの提案は気になったが、離れろと言われたため、影人と光司はその場から離れた。
「嬢ちゃんが提案する勝負か・・・・・・正直、嫌な予感しかしないな」
「確かに。でも、僕はどんな勝負でも全力でやるよ。今日僕は君に勝つ」
「・・・・・・はっ、それはこっちのセリフだ。吠え面かかせてやるよ」
シェルディアたちが話をしている間、影人と光司はそんな言葉を交わす。言葉だけなら少年漫画っぽいが、賭けているのは「前髪とお祭りデート券(直球)」である。普通に締まらないし、なぜか悲しくなってくる。
「いいねそれ! 絶対盛り上がるよ!」
「うん! それ最高! 私大賛成♪」
「あの帰城影人が全力でそれをしたら・・・・・・ぷぷっ、想像するだけで笑えてくるわ」
「ほほっ、何とも楽しそうじゃ。よし、妾も見に行ってやろう」
「うむ。間違いなく盛り上がるでありますな」
シェルディアの説明が終わったのか、突然女性たちが集まっている方からそんな声が聞こえてきた。声の主たちは、陽華、ソニア、キベリア、白麗、芝居だったが、他の者たちも賛成といった雰囲気だった。
「じゃあ、異論はないという事でいいわね?」
シェルディアが皆に改めて確認を取る。シェルディアの説明を聞いた者たちは、皆首を縦に振った。
「影人、ええと確か光司だったかしら。最後の勝負の方法が決まったわ」
「・・・・・・じゃあ、聞かせてもらうぜ。その勝負の方法はいったい何なんだ?」
シエラの屋台の方に戻りながら、影人がシェルディアにそう質問を飛ばす。そして、シェルディアは影人と光司に最後の勝負の方法を伝えた。
「あなた達の最後の勝負、それは・・・・・・カラオケよ」
『さあさあ、残す時間もあと僅か! 「祭りのど自慢大会」の参加者はいないですかー? 花火の前に歌ってスッキリ出来ますよ! あと15分で打ち切りです! 参加希望者はお早めに! 飛び込み参加大歓迎ですよ!』
数分後。影人たちは広場にいた。広場にはたくさんの人たちが集合しており、櫓が建てられていたり、その周囲で盆踊りをする人たちも多くいた。そして、そんな広場に何かの進行係だろうか、浴衣を来た若い女性がマイクでそんなアナウンスを行っていた。




