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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1963/2051

第1963話 夏だ、祭りだ、ハチャメチャだ6(2)

「まあいいわ。あなた達の想いはよく分かったわ。なら、あなた達も一緒にお祭りを回る? ちょうど今、影人とあの子の最後の勝負を決めているところなの」

「最後の?」

「勝負・・・・・・?」

 暁理とソニアが揃って首を傾げる。シェルディアは2人に説明を行った。

「ふーん・・・・・・そんな事になってたんだ。まあ、影人が素直に君たちといるなんて、おかしいなとは思ってたけど」

「何だか影くんらしいね・・・・・・」

 シェルディアから事の経緯を聞いた暁理とソニアがそんな感想を口にする。事情を理解した暁理とソニアはシェルディアにこう答えを返した。

「うん。じゃあ、僕もご一緒させてもらうよ。影人がみんなに迷惑をかけないか見ておかないとだから」

「私も私も! 普通に面白そうだし! よろしくねみんな♪」

「ええ。歓迎するわ」

 シェルディアがニコリと笑う。こうして、暁理とソニアも一行に加わる事になった。

「・・・・・・はあー。やっぱりこうなったかよ・・・・・・」

 影人がガクリと項垂れる。今でさえ騒がしいのにこれ以上騒がしくなるのか。いや、今日に限って言えば騒ぎに来たのだが、今の騒ぎは影人が想定していた騒ぎではなかった。

(もしも、ここに()()()()まで増えたら・・・・・・ダメだ。これ以上は考えないようにしよう。精神が終わる)

 まず間違いなくこの祭りに来ているであろう少女たちの顔を思い浮かべた影人は、その顔を振り払うようにぶんぶんと首を横に振った。取り敢えず、早く光司との勝負に勝っておさらばをする。そして、その後に魂の友たちと祭りを楽しむ。今考えるべき事はそれだけで十分だ。

『くくっ、お前は本当バカだよな。まんまと思惑に嵌っちまってやがるんだからよ』

 すると、今までずっと影人たちの様子を見ていたイヴが影人にそんな念話をしてきた。イヴの言葉の意味が分からなかった影人は「っ?」とその顔を疑問の色に染める。

「どういう意味だよイヴ?」

『さあな。てめえで気づけ。わざわざ俺が教えてやるかよ。ただ、お前以外の奴は大体気づいてるぜ。俺からのヒントはここまでだ。てめえの痴態なんざ日常茶飯事だが、引き続き、お前の痴態を楽しませてもらうぜ』

 イヴは一方的にそう言うと念話を打ち切った。影人は「あ、ちょ、イヴ!」と再び念話を試みたが、イヴは応えなかった。

「ったく、イヴの奴なんだったんだよ・・・・・・俺が罠に嵌まってる? いったいどういう意味だ・・・・?」

 考えても、自分がどのような罠に嵌っているのか影人には全く分からない。

 だが、イヴの性格上、嘘を言っているとは思えない。イヴの性格の悪さは本物だ。この場面で嘘を言うよりも、本当の事を影人が気づけない範囲で目の前にぶら下げる事を言う方が、嫌がらせとしてより効果的だと分かっている。つまり、イヴが言っている事は真実である可能性が極めて高い。

「ふふっ、更に賑やかになりそうね。やっぱり、お祭りはこうでなきゃ」

 シェルディアは楽しそうに笑うと残っているかき氷に匙を入れた。

 ――影人、光司、風音、アイティレ、芝居、真夏、ロゼ、シェルディア、キベリア(とキベリアの抱いているぬいぐるみ)、キトナ、暁理、ソニア。その数、計12人。いつの間にか、結構な人数になった一行は、影人と光司の最後の勝負を決めるべく、屋台の出ている往来を練り歩いた。

 そして、

「・・・・・・凄え」

「ああ。さすがは俺たちのGだ」

「人は見た目じゃない。本当にその通りだぜ」

「人を集める才能・・・・・・別の言い方をすれば、カリスマだな」

「やっぱり、Gは俺たちと一味違うな」

「だが、間違いなく俺たちは同士だ」

 そんな一行をA、B、C、D、E、Fの6人のバカたちが密かに見守っていた。

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