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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1944/2051

第1944話 夏だ、祭りだ、ハチャメチャだ1(4)


「ま、待ってくれB! 確かに、お前の神意見モンスターは凄い! 空前絶後だ! まさに神意見モンスターだ! だが俺の意見モンスター『真夏のビーチでスイカ割り』の片鱗がカケラも見えないぜ!?」

 唯一キメラのパーツにされていないAが戸惑った顔を浮かべる。ちなみに、キメラのパーツにされていないというのであれば、Cの「バーベキューパーティー」とEの「肝試し」もパーツにはなっていないのではないかと思われるが、バーベキューパーティーは結局夏祭りで飲み食いが出来るし、肝試しに関しては、まあこいつらが騒いでいるだけで肝が冷えるので実質肝試しだろう。CとEはまあ多分本能でその辺りの事が分かっていたのだろう。Aのように文句を言わなかったのは、本能による理解からだった。本当に色々と化け物みたいな奴らである。

「A・・・・・・君の痛みは分かる。だが、現実は非情なんだ。1日で全てをやり切る事は難しいんだ・・・・・・! 分かってくれ・・・・・・!」

 Bが苦渋に満ちた顔になる。Bも苦しいのだ。その事を感じ取ったAは「B・・・・・・」と呟いた。

「というか、ぶっちゃっけこの近く海がないから、ビーチでスイカ割りだけちょっと本当に難しいんだ。ここから1番近いのは多分東京湾だけど、時間もかかるし、東京湾でスイカ割りはしたくないだろ?」

「あ、まあそれはそうだな。悪い。もうちょっと現実的なことを言えばよかった」

「気にするなよ。今は難しいかもだけど、ビーチでスイカ割りはまた後日にしようぜ」

 急に素に戻ったようにBとAがそんな会話を行った。Bの提案にAは「ありがとうよ」Cは「いいね」Dは「もちろん賛成だぜ」Eは「何か今からでもめっちゃワクワクするな」Fは「やべー、生きる目的がまた出来ちゃったぜ」Gは「イカした提案だ。諾だ」とそれぞれ賛成の姿勢を示した。

「よし、問題は解決した! では諸君。話を戻そう! 俺たちの意見を結集させた神意見モンスターの力を発揮する時は、いつも7月30日にある地元の夏祭り! みんなも知っていると思うが、この夏祭りは屋台も出るし、花火も上がるし、異性もおめかしをしてたくさん集まる! つまり全ての条件が揃っているんだ! どうだろう、風洛の誇る漢たちよ! ここでみんなで青春を爆発させてエンジョイしちゃわないか!?」

 再びバカモードに戻ったBが具体的な日付や場所を述べる。アホたちは皆腕を組みうんうんと首を縦に振った。

「異議なし!」

「同じく!」

「右に同じ!」

「イエス!」

「最高だぜ」

「愚問だな」

 A、C、D、E、F、Gが即座に同意する。仲間たちの答えに感動したBは思わず感涙を流しそうになった。

「お前たち・・・・・・全く男子高校生は最高だぜ! よーし、なら7月30日の夜7時に正門前に集合だ! 行くぜお前ら! 青春の坩堝へと!」

「「「「「「おうッ!」」」」」」

 右手を天に掲げたBに呼応するように、バカどもも右手を天に掲げる。

 ――こうして、7月30日の夏祭りにバカどもの真の宴が開催される事になったのだった。

 始まるは約束された失笑劇。コメディにも満たないアホたちの行動劇。

 しかし――

「――あら、近い内に夏祭りがあるのね。ふふっ、せっかくだから影人を誘おうかしら。ついでにキベリアとキトナも連れて行きましょう」

「ねえ明夜! 今年も夏祭り行こうね!」

「当たり前よ。今年はイズちゃんとか風音さんとかアイティレさんとか、他にもいっぱい誘いましょう」

「夏祭り! これは影くんとの距離をグッと近づけるチャンスだよね!」

「この夏祭りで今年こそ影人と僕は・・・・・・!」

「ふむ。日本の祭りか。これは是非行かなければね」

 ――そこはかとなく恋笑劇ラブコメの波動も感じられそうだ。

 そして――

「夏祭りか・・・・・・よし、帰城くんを誘ってみよう。僕は今年も帰城くんとの・・・・・・友達との一夏の思い出を作ってみせる・・・・・・!」

 ――香乃宮光司の波動も。

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