第1941話 夏だ、祭りだ、ハチャメチャだ1(1)
いま、深淵の底よりギャグ回が蘇る。
「――はっ!?」
「――っ!?」
「――何だ!?」
「――このオーラは・・・・・・!?」
「――感じる。感じるぜ・・・・・・!」
「――間違いない。俺の心が痛いほどに叫んでいる・・・・・・! 熱くなれと。バカになれと。青春の炎を今こそ燃やせと!」
7月下旬のとある夜。風洛高校に通うとある6人の男子生徒たち――通称A、B、C、D、E、Fの6バカたちは一斉に何かを受信した。
「っ、こいつは・・・・・・」
そして、6バカ以外にも何かを受信した者が1人。長すぎる前髪に顔の上半分を支配された男――通称前髪野郎、バカネームG、もとい帰城影人である。部屋にいた影人はハッとした顔で虚空を見上げた。今この瞬間、風洛高校の恥部の中の恥部、風洛の7バカは確かに何かを感じ取っていた。
「・・・・・・はっ、面白え。いいぜ。最近はずっとシリアスばっかだったからな。久しぶりに魂を燃やしてえと思ってたんだ。魂で繋がったあいつらと・・・・・・俺のソウルメイトとな」
バカの前髪がバカな事を呟く。前髪は全ての理屈を超えた直感で理解していた。この感覚は他の6人もいま抱いているものだと。いま7人の魂が共鳴しているのだと。
「魂の解放日は明日・・・・・・フッ、楽しみだぜ」
気色の悪い前髪スマイルを浮かべながら、前髪野郎は格好をつけた様子でそう呟く。そんな影人をペンデュラムの中から見ていたイヴは、
『ああ、久しぶりの大バカモードか』
どうでもよさそうにそう思った。
――始まるはバカどもの宴。ノリと勢いのみが行動原理の異次元空間。
正直――見なくていい。
キーンコーンカーンコーン。
「・・・・・・来たか。約束の時が」
7バカがアホな電波を一斉受信した翌日。風洛高校に昼休みを告げるチャイムの音が響いた。腕を組み意味深にそう呟いたバカ前髪は、ゆっくりと自分の席から立ち上がった。
「帰城さん今日は学食ですか?」
すると、鞄の中から弁当を取り出した隣の席の海公がそんな事を聞いてきた。影人は大体は弁当が昼飯でその時は海公と教室で食べる事が多いため、影人にそう聞いたのだった。
「いや・・・・・・ちょっと友達と約束がな。悪い春野。俺は・・・・・・行かなきゃならないんだ」
「そ、そうですか・・・・・・」
まるで戦いに赴くかのような真剣な様子の影人に、海公は思わず緊張した顔持ちになる。
「じゃあな」
「は、はい」
影人が軽く右手を上げる。海公がコクコクと頷くと、影人はスッと教室を出て行った。
「・・・・・・今日の影人さん、何だか凄く真剣だったな。本当に友達に会いに行くのかな・・・・・・」
影人を見送った海公は少し心配な顔でそう呟いた。
「・・・・・・」
教室を出た影人は何の迷いもない足取りで校舎を出た。そして、とある場所へと向かった。
数分後。影人が辿り着いたのは風洛高校2棟の校舎裏だった。昼休みにわざわざ校舎裏に来るような生徒は少ない。ほとんどいないと言っても過言ではないだろう。
「――待っていたよ。ミスター・・・・・・G」
だが、校舎裏には既に幾人かの男子生徒の姿があった。その数、全部で6。その中の1人、メガネを掛けた男子生徒、Bこと天才はクイッとメガネのブリッジを上げた。




