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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1940/2051

第1940話 とある家族の再会2(6)

「ふぁ〜あ・・・・・・あー、よく寝た・・・・・・」

 数日後。東京郊外、響斬邸。クーラーの効いた部屋で布団から起き上がった響斬は、スマホを見て現在の時間を確認した。

「11時か。ちょっと寝過ぎたな。でも、昨日はゲームに熱中してたし仕方ないな」

 ダメ人間まっしぐらな言い訳をしながら響斬は寝床を出た。まずは洗面所に行って顔を洗う。そしてトイレで用を足してリビングに向かった。

「――おっ、おはよう響斬さん。って言っても、もう昼前だけどな」

 リビングに出るとテーブルに着いてコーヒーを飲みながらテレビを見ていた男が響斬に挨拶をして来た。歳の頃は30〜40代くらいの少し長めの髪の男だ。響斬と同じ日本人で男は綺麗に髭を剃った顔で人好きのする笑みを浮かべた。

「おはようございます影仁さん。いやー、昨日ゲームし過ぎちゃいまして」

「あー分かる。ゲームは楽しいよな。やめ時が見つからない。俺もよく徹夜でゲームしてたよ」

 影仁が響斬に共感する。そして、影仁はテーブルの上にある白飯、味噌汁、魚、卵焼きなどラップの掛かっている朝食を指差した。

「作っといたから適当に食べてくれ。冷めてるだろうから温めるよ」

「いやー、ご丁寧にありがとうございます。正直、滅茶苦茶助かりますよ。影仁さんのご飯美味しいですし」

 響斬がお礼を言いながら席に着く。冷めた白飯をレンジに入れ、コップに冷たい緑茶を注ぎ箸を取った影仁は首を横に振った。

「いや、助かってるのは俺の方だよ。居候させてくれて本当にありがとう。衣食住全部どうにかさせてもらって・・・・・・マジで響斬さん優しいよ」

「世の中助け合いですよ。困っている人がいるなら助ける・・・・・・ぼかぁ人間を辞めた者ですけど、出来るだけそうしたいと思ってますし。それに、影仁さんもこうして家事をしてくれてるじゃないですか。僕も十分助けられてますよ。いや、本当」

「これくらいはお安いご用さ。世界を放浪してる時もよく家事を手伝わせてもらったしな」

 影仁は温め終えた白飯をレンジから取り出すと、次に魚をレンジに入れた。その間に鍋で味噌汁を温め直す。そして魚と味噌汁を温め終えると、影仁は最後に卵焼きをレンジで温めた。

「いただきます。もぐもぐ・・・・・・うん。やっぱり凄く美味しい」

「ははっ、どうも」

 卵焼きを口に運んだ響斬の顔が綻ぶ。影仁はそんな響斬を見て嬉しそうな顔を浮かべた。

「奥方のお怒りはまだ鎮まらないご様子ですか?」

「ああ。昨日影人と会ったんだが、全く収まってないって言ってたよ。むしろ、怒りが増してる感じだってさ。いやー、ヤバいかも・・・・・・」

 食事をしながら響斬はそんな話題を振った。影仁は苦笑いを浮かべそう答えた。

「妻の怒りが1番怖いですもんね・・・・・・でも、いずれ許してくれますよ。それまではどうぞ、僕の家に居候してください」

「ありがとう響斬さん。本当に申し訳ないけどお言葉に甘えさせてもらうよ」

「ええ。そうだ。今日の夜一緒にゲームしませんか? お酒呑みながら。きっと楽しいですよ」

「いいね! やろうやろう」

「よし決まりだ。じゃあ、ぼかぁこの後修行しに出かけるんで帰りに酒とツマミを買って来ますよ。何かリクエストありますか?」

「え、いいの? じゃあ、悪いけど――」

 響斬の提案に影仁は楽しそうに頷く。それから、2人はワイワイと楽しそうに話を続けた。


 ――こうして、帰城影仁はしばらく間、響斬の家で居候する事になったのだった。

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