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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1938/2051

第1938話 とある家族の再会2(4)

「ごめん父さん。俺のせいであんなに怒られて・・・・・・でも、ある程度時間が経てば母さんも絶対許してくれると思うから」

「それは気にするなよ。日奈美さんに怒られる覚悟だけはしてたんだ。どうってことねえよ」

 謝罪する影人に影仁は笑いながら首を横に振った。

「でもまあ、確かに日奈美さんの言う通りだったよなー・・・・・・生きてる事くらいは紙にでも書いて伝えておいてもよかったかもしれない。いや、でもあの時は正直それどころじゃなかったしなぁ・・・・・・まあ、この結果が全てか。今更気にしてもだよな。よし、明るく行こう」

 影仁は無限に出てくる後悔の念を無理やりに振り切った。暗いことやどうにもならない事ばかり考えていても何にもならない。それらは最悪死につながる原因にもなり得る。数年間に及ぶ厳しい世界放浪の旅で、影仁はその事を痛いほど理解していた。メンタルリセットはその理解の副産物であった。

「・・・・・・やっぱり強いな父さんは。流石無一文で世界を放浪して今まで生きて来た男だよ」

「ははっ、まあメンタルの強さにはそれなりに自信があるからな。というか、さっきの日奈美さんの言葉で気になってたんだが・・・・・・影人、お前宇宙人に攫われたってマジなのか?」

 影仁は真顔で影人にそんな質問をした。影仁は影人が普通ではない世界に巻き込まれている事は知っているが、まさか宇宙人と関わっていたのか。だが、影人は首を横に振った。

「いや、嘘だよ。ちょっと死んでて3ヶ月くらい行方不明になってたから、それを誤魔化せる丁度いい嘘を言っただけ。流石の俺もまだ宇宙人とは会った事はないよ」

「え、死んで? え、ちょ、な、何を・・・・・・流石に冗談・・・・・・だろ・・・・・・?」

 何でもない様子でそう答えた影人に、影仁が意味が分からないといった様子になる。なんだ。いったい自分の息子は何を言っている。新手のジョークだろうか。いや、そうに違いない。死んでいればいま影人は自分の目の前にはいないはずなのだから。

「いや、残念ながら冗談じゃないんだ。信じられないと思うけど、俺2回死んでるんだ。で、何やかんやで2回生き返った」

 だが、影人は真顔でかぶりを振る。影人の言葉が嘘ではないと悟った影仁は一瞬固まると、思わずドン引きしたような顔を浮かべた。

「え・・・・・・マ、マジかよお前・・・・・・影人、お前本当に人間・・・・・・?」

「失礼だな。どこからどう見ても俺は人間だろ。そりゃ、災厄とか神とかは倒したし、擬似的に不死身にもなれるけど、俺は人間だよ」

「そーですかい・・・・・・」

 ムッとした様子で反論した影人に、影仁はなんだか疲れたような様子でそう呟く。話のスケールが大きすぎる。影仁は理解する事を放棄した。

「何てこった・・・・・・しばらくしない内に、俺の息子はなんか言葉にできないくらいヤバい奴になってたぜ・・・・・・」

「心外だな。俺はどこからどう見てもただの高校生だろ」

 影仁の呟きに影人は納得できない様子だった。影仁は「まあ、お前がそう思ってるならそれでいいと思うぜ」と気遣うように笑った。

「さーて、そろそろ現実をしっかりと見ないとな。日奈美さんの怒りが収まるまで、何とかこの辺りで生きとかないと・・・・・・って言っても、俺金ねーしな。しゃあねえ。ホームレスやるか」

「父さん、今日日ホームレスなんか中々やれないよ。すぐ通報されるし。そうなったらウチに流れ着くだろうから、やめた方がいいよ」

「ええ? じゃあどうするんだよ。昔の知り合いの家はそのままか分からねえし、俺の実家も変わってなかったらここから遠いぜ。あ、そうだ。父さんと母さん・・・・・・爺ちゃんと婆ちゃんはまだ元気か?」

「2人とも元気だよ。また近い内に会ってあげればいい。でも、おじいちゃんとおばあちゃんショック死するかもだから、そこは気をつけてね」

「そうか。それはよかったぜ」

 ついでではあるが、両親の安否を聞いた影仁は安心したように息を吐いた。

「うーん、この近くで父さんを居候させてくれそうな所か・・・・・・女性がいる家は正直難しいだろうしな・・・・・・」

「どうするかな・・・・・・」

 影人と影仁が悩んでいると、後方から足音が聞こえて来た。マンションの住人だと思った影人は邪魔にならないよう体を動かそうとする。だが、足音はピタリと止まった。

「あれ、君影人くんじゃないか。ああ、そうか。君はシェルディア様の家の隣に住んでるんだったね」

「あんた・・・・・・確か、響斬さん・・・・・・だったか?」

 影人に声を掛けて来たのは闇人の響斬だった。ジャージ姿に黒いバットケースを肩に掛け、手にどこかの土産屋の手提げ袋を持った響斬は笑顔で頷いた。

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