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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1937/2051

第1937話 とある家族の再会2(3)

「あんたが突然いなくなって・・・・・・! 私、私どうにかなりそうだった・・・・・・! 寂しくて不安で悲しくて・・・・・・! でも、でも私は影人と穂乃影の親だから・・・・・・! 私、私・・・・・・! 影仁ぉ・・・・・・」

「よかった・・・・・・! よかった生きててくれて・・・・・・! お父さん、お父さん・・・・・・!」

 日奈美と穂乃影は涙を流しそう吐露した。影仁はそんな2人をしっかりと抱き返した。

「ごめん・・・・ごめんな日奈美さん穂乃影・・・・・・! 迷惑かけて・・・・・・! 辛い思いさせちまって・・・・・・! 俺は父親失格だ・・・・・・! でも、会いたかった・・・・・・! ずっと、ずっと会いたかった・・・・・・! 日奈美さん、穂乃影・・・・・・!」

 影仁も今まで堪えていた涙を流す。その光景を見た影人も思わず目に涙が滲んだ。だが、影人はグッと涙を堪えた。

(ああ、よかった・・・・・・俺はずっとこの光景が見たかったんだ・・・・・・)

 自分のせいで影仁も、日奈美も、穂乃影もずっと苦しんでいた。家族の仲をバラバラに引き裂いてしまった。ずっとずっと影人の心にあった消えない罪悪感。だが、3人が抱き合う光景を見て、影人はその罪悪感が少しだけ和らいだような気がした。

 そして、影仁と日奈美と穂乃影はしばらくそのまま抱き合い、影人はそんな3人を暖かな顔で見守った。












「あ、あれえ・・・・・・どうしてこうなったんだ?」

 家族の感動の再会から約30分後。影仁はマンションの外にいた。たった今、影仁は日奈美から家を追い出された形だった。

「・・・・・・母さんの怒りが思ってた以上だったね。一頻ひとしきり感動した後、怒りが込み上げて来たって感じだったし・・・・・・」

 追い出された影仁を憐れむように、見送りに来た影人がそう呟く。影仁が急に失踪した事情が事情だったため、日奈美は影仁を許すと影人は思っていたのだが、現実はそうはならなかった。

「失踪するにしても話していくなり、理由を書いてくなり、生きている事を伝える方法は色々とあったはずでしょ!? ずっとずっと不安にさせて! 私やこの子たちがどれだけ苦労したか! あんたがいないって事につけれない区切りを無理やりつけて、ずっと頑張って来たのに! 今になって実は生きてましたってなによ!? ああもうッ! 腹が立って仕方がないわ! 息子は宇宙人に攫われるし、夫は変な神様に呪いかけられて行方不明になるし・・・・・・! 影仁ッ! あんたしばらくウチには来るな! でも近くにはいなさいよ! あと連絡は取れるようにしなさい! 携帯がない? 知るか! 何とかしときなさい! じゃあね!」

 いま思い出しても烈火の如くだった。日奈美は安心と感動から一転、心の奥底から湧き上がった怒りを爆発させると、影仁を追い出した。日奈美は影仁がマンションの構内にいる事も許さなかった。

 ちなみに穂乃影は影仁が追い出される時、小さく手を振っていた。何だかんだ、穂乃影は近い内に影仁が日奈美に許される事を確信しているのだろう。そして、それは影人も同じだった。

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