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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1899/2051

第1899話 最後の審判(2)

「ふん。くだらん茶番だ。おい、レイゼロールとか言ったな。さっさとそいつを殺せ。殺さんなら俺がやるぞ」

「分かっている。黙って見ていろ。シェルディアの同族よ」

 軽く苛立ったようなシスにレイゼロールはそう言葉を返す。レイゼロールは自身のアイスブルーの目で、フェルフィズの薄い灰色の目を正面からしっかりと見つめ直した。

「言いたい事はそれだけか。では・・・・・・審判の時間だ」

 レイゼロールはその身から『終焉』の闇を解放した。レイゼロールの瞳の色が漆黒へと変わり、全身から全てを終わらせる闇が立ち昇る。

「さて、私の長かった生もいよいよこれで終わりですね・・・・・・」

 間近からその闇を見たフェルフィズは軽く両目を閉じた。まるで、死を受け入れるかのように。

「製作者・・・・・・」

 そんなフェルフィズに声を掛ける者がいた。イズだ。イズはどこか悲しげな顔を浮かべているように見えた。

「・・・・・・この短期間で随分と表情が豊かになりましたね、イズ。実に好ましい変化だ。最後にあなたの変化が見れてよかった」

 フェルフィズは優しい笑みをイズに向けた。その笑みも、言葉もフェルフィズの本心からのものだった。

「っ・・・・・・あなたは私を恨んではいないのですか。私がこの2人に・・・・・・陽華と明夜に絆されなければ、あなたの目的は叶ったかもしれないのに」

「恨む? まさか。とんでもない。私は君の変化を喜びこそすれ、恨むなんて事はしませんよ」

 フェルフィズは即座にかぶりを振った。そして、変わらずイズに優しい笑顔を向ける。

「イズ。あなたはまだ生まれたばかりの存在と大差ない。これからゆっくりと自分の事、あなたの興味のある事を知っていきなさい。そして、しっかりと生きてください。あなたは特殊な存在ですから、色々と苦労もあるでしょうが・・・・・・きっと、君を救ったそこの光導姫たちや、影人くん、他のお人好したちが助けてくれますよ。ねえ?」

「っ、はい! もちろんです!」

「イズちゃんを助けた責任は最後までしっかり取るつもりです」

 陽華と明夜がしっかりとした口調で答える。2人の答えを聞いたフェルフィズは満足そうな顔になった。

「影人くん、君も私が安心して逝けるように答えてくださいよ」

「はあ? 何で俺が・・・・・・というか、お前みたいな奴が安心して逝こうとするな」

「それくらいはいいじゃないですか。死は全ての者に平等に訪れる安寧ですよ。それよりも、早く答えてくださいよ」

「ちっ・・・・・・分かったよ。こいつが窮地に陥ったら俺も助ける。これで満足か」

「ええ。君がそう言ってくれるのなら安心だ。イズをよろしく頼みます」

 ぶっきらぼうに答えた影人に、フェルフィズは再び満足そうな顔を浮かべた。

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