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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1886/2051

第1886話 無機なる心を救う光(3)

「ああ・・・・・・凄まじいわね。これだけの力と力の衝突を見るのは、もしかしたら初めてかもしれないわ。もちろん、イズが放つ死の力も凄まじいけど・・・・・・それ以上に陽華と明夜ね。人の身でありながら、よくぞここまでの光の力を放てるものだわ。素晴らしいわね」

 シェルディアはどこか感動したような顔で陽華と明夜に対する称賛の言葉を呟いた。シェルディアは以前レイゼロールとの最終決戦で、陽華と明夜がレイゼロールに放った光の奔流を覚えている。正直、この光の奔流はあの時の光の奔流に比べれば劣ると言わざるを得ない。

 だが、あの時の光の奔流は全ての光導姫と守護者から力を集めて放たれたものだ。対して、いま陽華と明夜が放っている光の奔流は、陽華と明夜の力だけで放たれているもの。そのため、前回の光の奔流よりも威力が劣るのは当たり前だ。その事を理解しているからこそ、シェルディアは称賛の言葉を述べたのだった。

「ぐっ・・・・・・」

「・・・・・・闇人のお前にはこの光の波動はキツいだろう。下がっていろ」

 どこか苦しげな顔を浮かべるダークレイにレイゼロールがそう言葉をかける。闇人であるダークレイにとって光の力は毒と同じだ。レイゼロールやシェルディアも闇人と同じ闇の本質持ちであるため、弱体化の影響はあるが、闇人のように光の力が死(ようは浄化)に直結するわけではない。

「うるさいわよ・・・・・・前回の時も大丈夫だったんだから、今回も大丈夫よ。それに・・・・・・今更見届けないわけにはいかないでしょ」

「そうか・・・・・・ならば、もう何も言わん」

 ギロリと睨みつけてきたダークレイに、レイゼロールはそう言葉を返した。

「凄い・・・・・・これが朝宮さんと月下さんの光・・・・・・ははっ、一応僕の方が光導姫としては先輩だけど、もうとっくに越されちゃったな」

「本当ね。光導姫になってまだ1年と少しくらいしか経っていないのに・・・・・・陽華ちゃんと明夜ちゃんの成長速度は天井知らずだわ」

 自然と笑ってしまった暁理に風音が同意する。2人とも陽華と明夜と多少関わりがあり、1年前の陽華と明夜が光導姫に成り立ての頃を知っている。ゆえに、そんな感想が出てきたのだった。

「・・・・・・」

 光司は何も言葉を発さずにただ目の前の光景を眺めていた。光司の中にあるのは陽華と明夜に対する信頼と、()()()()()()に動く覚悟だった。壮司、ソニア、白麗の3人も内心で様々な事を思い考えているだろうが、特に言葉を発しはしなかった。

「っ、押し込めない・・・・・・!」

「流石はイズちゃんの必殺技ね・・・・・・!」

 最大浄化技の光の奔流を放ち続けている陽華と明夜が厳しい顔になる。現在、イズの放った最大級の死の一撃と陽華と明夜の光の奔流は完全に拮抗している。陽華と明夜がこの状況を打破するためには、最大浄化技の力の出力を更に上げるしかない。

「明夜! もっともっと、想いを燃やすよ! イズちゃんを救うっていう想いを! 私たちの全ての想いを!」

「ええ陽華! 何があってもここだけは絶対に負けられない! もっともっと輝きなさい私たちの想い! 光に変われぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!」

 陽華と明夜が更に正の感情を燃やす。光の奔流は間違いなく一切手を抜かない陽華と明夜の全力だった。だが、2人はその限界を無理やり超えた。陽華と明夜の更に高まった正の感情は力となり、光の奔流を更に強め輝かせた。その結果、光の奔流は死の斬撃を徐々にではあるが押し込み始めた。

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