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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1883/2051

第1883話 真っ向勝負(4)

「「汝の闇を我らが光に導く」」

 陽華と明夜が言葉を唱える。イズは闇に呑まれているわけではないので、この言葉は正確には適切ではないかもしれないが、これは陽華と明夜が光導姫としての最大の技を放つ際に必要な言葉だ。陽華は右手を、明夜は左手をイズに向かって突き出した。

「我が名はイズ。忌神フェルフィズが作りたもうた神器、フェルフィズの大鎌の意思なり。意思である我が我が本体に命ずる。全ての力を解放せよ」

 イズも大鎌を構えそう言葉を唱える。すると、フェルフィズの大鎌から闇色のオーラのようなものが発せられた。そのオーラのようなものは見る者に不吉なものを感じさせ、周囲の空気を揺らした。

 イズが唱えた言葉は、言葉通りフェルフィズの大鎌の能力を全て解放するもの。大鎌の攻撃の威力は劇的に上がるが、デメリットとして攻撃を終えた後に一時的に大鎌の能力が焼き切れる。つまり、オーバーヒートのような状態に陥る。相手には死を相殺出来る力を持つ影人がいる。ゆえに、イズは今までこの力を使わなかった。

 だが、イズは約束した。陽華と明夜の勝負に乗ると。互いに放つのは最大級の一撃。そのため、デメリットのある大鎌の全ての力を解放したのだった。イズは自分を本気で救おうとしている陽華と明夜に対して、敵であるはずなのになぜか嘘はつきたくないと思った。

「私たちの想いを光に乗せて――」

 陽華がそう言葉を唱えると、陽華の両腕のガントレットが光となって陽華の右手に宿った。

「私たちの力を光に変えて――」

 明夜がそう言葉を唱えると、明夜の右手に持っていた杖が光となって明夜の左手に宿った。

「製作者、申し訳ないですがまた生命力を借ります」

 イズは大鎌にありったけの生命力を流し込んだ。急に凄まじい生命力を吸い取られたフェルフィズは「ぐっ・・・・・・」と苦悶の声を漏らした。そして、生命力を吸い取った大鎌の刃が怪しく輝きを放つ。その輝きはこれまでで1番強いものだった。

 イズが意識したのは目の前の陽華と明夜を殺す力。死の一撃の力を極限にまで高める事だった。凄まじい生命力を流し込み、全ての力を解放した大鎌の闇色のオーラは、やがて黒いボロ切れを纏う骸骨のような形――それはまさに死神のような――に変化した。死神のオーラを背後に背負うイズは、美しも恐ろしい死の化身に見えた。

「「・・・・・・」」

「・・・・・・」

 陽華と明夜、イズは少しの間無言で互いを見つめ合う。互いに最大級の攻撃を放つ準備は出来た。陽華と明夜は全てを照らす光を放ち、イズは全てを死へと誘う闇を放つ。互いに目と目を合わせた陽華と明夜、イズは攻撃を放つタイミングを互いに理解した。

「「届け! 私たちの想い! 私たちの浄化の光よ! 行っけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」」

「私という存在の全ての力を使ってあなた達を殺す! あなた達が真に私を救いたいなら! 私の全てを超えてみせなさい!」

 陽華と明夜が互いの両手を重ね、2人の手の先から全てを浄化する極限の光の奔流が放たれる。イズも大鎌を振り極限の死の斬撃を放った。斬撃は闇色の巨大な三日月状となり光の奔流に向かって飛ぶ。死神のようなオーラもその斬撃に追従した。

 互いに放たれた最大級の攻撃。極限の光の奔流と死神纏う可視化された黒い三日月状の斬撃。互いに放たれたそれは、やがて予定調和のように激突した。


 瞬間、凄まじい衝撃波が巻き起こった。


 ――境界が崩壊するまで残り約5分。

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