表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1873/2051

第1873話 最終局面、忌神との決戦1(2)

「あなた達が死なないのなら、あなた達が死ぬまで私は私の本体の力を使うだけです・・・・・・!」

「っ、いかん・・・・・・」

 今からでは、対象を5秒前の状態に戻す白麗の妖術「流転の逆」は間に合わない。イズは再び陽華と明夜を認識し、大鎌で距離を殺し2人に絶対死の斬撃を放った。

「『世界端現』! 影闇よ、朝宮と月下に纏え!」

 だが、再び影人が2人に死を弾く影闇を纏わせ、イズが放った死の力を相殺した。斬撃はまたも無力化出来なかったが、影人は影闇を通してすぐさま陽華と明夜の傷を癒した。

「ぐっ・・・・・・」

 影人はその顔に隠し切れぬ疲労の色を浮かべた。『世界端現』も回復の力もそうだが、これらの力は力の消費量がかなり高い。そして、影人は『世界端現』も回復の力も既に何度も使っている。影人のスプリガンとしての残りの力は、かなり少なくなっていた。

(ヤバいな・・・・・・イズの奴が朝宮と月下の奴を目の敵にしてるから、ピンポイントで朝宮と月下に『世界端現』を掛けてきた。2人だけなら、後3回くらいは『世界端現』も使える。だが、イズが冷静さを取り戻してフェルフィズの大鎌の対象を全員にしたら・・・・・・正直、全員を守れるかは怪しい)

 そうなれば死者が出る可能性が極めて高い。陽華や明夜が目指す完全なハッピーエンドは迎えられない。影人が疲労を感じながら内心でそう考えていると、陽華と明夜が影人に心配そうな顔を向けてきた。

「帰城くん!? 大丈夫!?」

「私たちを守ってくれてかなり疲れてるんじゃ・・・・・・」

「・・・・・・俺の事は気にするな。大丈夫だ。それより、お前らは自分がやるべき事に集中しろ。安心しろ。お前らは絶対にこの俺が死なせない。だから、恐れも迷いもなく行け。悔いがないようにやり切れ」

 影人は陽華と明夜に対しそう言葉を返した。その言葉を受けた陽華と明夜はしっかりと頷いた。

「うん。分かった」

「ええ。分かったわ」

 影人が、スプリガンがそう言うのならば、陽華と明夜は信じるだけだ。そして、陽華と明夜にとってスプリガンを信じるのは当然の事だった。

「はっ、ならいい」

 2人の答えを聞いた影人は小さく笑いながら頷いた。陽華と明夜が再びイズに顔を向ける。影人の言葉に込められた想いが、陽華と明夜に更なる力を与え、2人がその身から放つ人の想いの光をより強く輝かせた。

「イズちゃん! 行くよッ!」

「これがあなたを救うための最後の対話よ!」

 陽華が地を蹴りイズとの距離を詰める。明夜は杖を振り、輝く水と氷の奔流を放った。イズはその奔流を避けた。

「いい加減に諦めなさい! 私とあなた達は今日初めて会っただけの敵だ!」

「諦めないよ! だってあなたは悩んでる! 苦しんでる! そんなあなたを私たちは見捨てられない!」

 接近した陽華が光を纏う拳を放つ。イズはその一撃を避け、蹴りを放つ。同時に、近くに浮遊させていた2つの砲身を光刃に変えた。光刃は蹴りと同時に陽華に襲い掛かる。

「ええ! 傲慢だろうが何だろうが、それが偽らざる私たちの気持ちよ!」

 だが、明夜が魔法を使い光を纏う水の剣と氷の剣で陽華を襲わんとする光刃を受け止めた。陽華はイズの蹴りを受け止め、カウンターの右ストレートを放った。

「ぐっ!?」

 イズはそのストレートを顔面に受けた。あまりにも陽華との距離が近く、障壁を展開しても陽華ごと障壁の内側に取り込んでしまうため、障壁を展開出来なかったのだ。イズは陽華の光を纏う拳から、再び陽華の、いや陽華と明夜の想いが己の中に流れ込んで来るのを感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ