第1862話 守るべきもの、救うべきもの(1)
「っ、シェルディアちゃん!?」
「強力な援軍が来てくれたわね・・・・・・! でも、もう1人のセクシー狐さんはいったい・・・・・・」
第6の亀裂、日本。陽華、明夜、暁理、ソニア、風音、壮司、光司、ダークレイ、影人VSフェルフィズ、イズの戦い。忌神の神殿最上階に現れたシェルディアと白麗を見た陽華と明夜は、驚いたような嬉しそうな顔を浮かべた。
「ほほっ、帰城影人以外の者は初めて会うの。妾は白麗。まあ、一言で言うならば、シェルディアと同じような存在といえばいいかの。妾の世界も危機ゆえ助太刀に来た。よろしく頼むぞ」
白麗は泰然とした様子で自己紹介を行なった。寸毫の油断も許されぬ戦いの場に響いた白麗の声は、一瞬戦場に余白のような空気を生んだ。
「あのシェルディアと同じような存在かよ・・・・・・だったら、正直かなり助かるな」
「ふん、遅いのよ」
「あの女の子・・・・・・なるほど。ただ者じゃなかったってパターンか」
「何だかよく分からないけど、頼もしい味方が増えたって事だよね♪」
「ありがたい状況だね」
「やっぱり、あの人も【あちら側の者】・・・・・・」
白麗の自己紹介を聞いた壮司、ダークレイ、暁理、ソニア、光司、風音がそれぞれ反応を示す。特に、暁理はシェルディアの正体を知らなかったためシェルディアが現れた事にも驚き、風音は目に白いオーラのようなものを揺らめかせながら、白麗の正体を感覚として見破った。
「・・・・・・誰が現れても意味はありません。全員、平等に殺すだけです」
イズは大した感慨もなく、大鎌に生命力を流し込もうとした。だが、フェルフィズが待ったをかける。
「まあ、少し待ちましょうイズ。せっかく新たな参加者が来てくれたんです。すぐに殺すのも味気ないでしょう」
「・・・・・・分かりました」
イズが自身の本体である大鎌を下ろす。フェルフィズの言葉を聞いたシェルディアは「あら」と少しわざとらしく驚いてみせた。
「随分と余裕ね。自分を強者と驕るつもりはないけど、私と白麗が来たというのに。そこのお人形・・・・・・イズのせいかしら」
「別に余裕というわけではないんですがね。ですが、そうですね。私が余裕に見えているというなら、それは私の最高傑作であるイズのおかげです」
シェルディアの言葉にフェルフィズが頷く。その言葉を聞いた白麗は小さく頷いた。
「普通ならば自信過剰と嗤うところじゃが、まあ其奴がどれだけ特異な存在かは十分に知っておるからな。アオンゼウの力に、全てのモノを必ず殺す力・・・・・・長い時を生きて来た妾ですら、最も恐ろしい・・・・・・最恐と思える存在よ」
「嬉しい言葉ですね。ありがとうございます」
フェルフィズがわざとらしい仕草で腰を折る。シェルディアは、目にも止まらぬ速さで爪を伸ばし爪撃をフェルフィズに放ったが、その前にイズが大鎌で爪撃を切り裂いた。
「酷いですね。頭を下げている最中に攻撃とは」
「あなたのお辞儀は感謝や謝罪ではなくて、バカにするためのものでしょう? 私はただマナーを正そうとしただけよ」
「物は言いようですね」
やれやれといった様子でフェルフィズが首を横に振る。フェルフィズはイズにその薄い灰色の目を向けた。




