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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1855/2051

第1855話 亀裂を巡る戦い、決着4(4)

「本当、いつの間にか超重要な役目を任されちゃったな・・・・・・僕、将とか切り札とかそういう柄じゃないただの野良剣士なのに。・・・・・・でもまあ、やるって言ったからね。斬ってみせるぜ。その2つの力を」

 響斬は大きく息を吐き意識を集中させた。そして、目を閉じる。意識するのは右手の刀。斬るべき対象である、写し身の体に施されている概念無力化と超再生の2つの力。

(形のないそれを斬り裂く。イメージしろ。強く強く。目には見えないものを斬る。普通は無理だ。だけど、今のぼかぁ人ならざる身。斬れないものくらい斬らないとだよな)

 響斬は深く深く意識を更に集中させ、斬るという一念を研ぎ澄ませた。自身の『拡大』という概念をより拡張し強化する。

「・・・・・・!」

 写し身は冥、刀時、エルミナ、レクナルを相手にしながらも、魔法陣から再び大量の機械の剣と端末装置を呼び出した。それらは主に前線の4人に襲いかかったが、いくつかは後方にいる響斬、アイティレ、ショットも攻撃した。

「やらせん」

 だが、レクナルが矢を放ち機械の剣と端末装置を撃ち落とす。当然、後方に向かっていたものも。しかし、レクナルは1本だけ機械の剣を撃ち漏らした。機械の剣は集中し無防備になっている響斬へと襲い掛かる。レクナルは「っ、避けろ!」と叫ぶが、集中している響斬にその声は聞こえなかった。響斬はその場に留まり続ける。

 そして、剣が響斬を貫き――

「ぐっ・・・・・・!?」

 ――はしなかった。アイティレが響斬を庇い、剣をその身で受け止めたからだ。赤い血が大量に飛び散る。アイティレのその傷は間違いなく致命傷だった。

「っ、アイティレちゃん!?」

「あれは・・・・・・痛いな」

 その光景を一瞬だが見た刀時とエルミナがそう反応する。だが、2人は写し身と近接戦闘を行なっている途中だ。それ以上はアイティレに構う事が出来なかった。

(まさ・・・・か・・・・私が・・・・闇人を・・・・庇うこと・・・・に・・・・なるとは・・・・な・・・・・・)

 剣に貫かれたアイティレはチラリとその赤い目を後ろにいる響斬に向けた。響斬は極度の集中のためか、アイティレが庇った事にすら気づいていない。

(だが・・・・これでいい・・・・勝つため・・・・世界のため・・・・だ・・・・その正義のためなら・・・・私は・・・・私に出来ることを・・・・する・・・・)

 それが正義を謳いながら、スプリガンを、帰城影人を殺そうとした自分に出来る償いだ。大義のために全身全霊でこの身を尽くす。アイティレは激痛をその身で受け止めた。

「・・・・・・よし、行ける」

 精神を研ぎ澄まし終えた響斬が薄く目を開く。響斬は目の前で血を流しているアイティレに気付き、驚いた顔を浮かべた。

「っ、君・・・・・・」

「気に・・・・する・・・・な・・・・それより・・・・準備は・・・・出来た・・・・のか・・・・・・?」

「・・・・・・ああ。おかげさまでね。ありがとう」

 状況を察した響斬はただ一言アイティレに感謝の言葉を述べた。アイティレは「なら・・・・いい・・・・」と言うと、自分の体に刺さっている剣を引き抜いた。「がふっ・・・・・・」とアイティレが言葉を漏らし、大量の血が流れ落ちる。

「癒しの風よ」

 瞬間、レクナルが魔法を使いアイティレに治癒の効果を持った風を届ける。その風の効果でアイティレの傷は修復された。

「さて、今からあの機械娘きかいっこの体の『力』を斬るけど・・・・・・みんな準備はいいかい?」

「準備が整った! 各自1度散って各々の最大の攻撃を放てるようにしろ!」

 回復したアイティレが前線にいる者たちに指示を飛ばす。アイティレの言葉を聞いた者たちは、ギリギリまで写し身の注意を引き、一旦周囲に散開した。

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