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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1853/2051

第1853話 亀裂を巡る戦い、決着4(2)

「いい。今言ったが、君の気持ちは分かるからな」

「で、レクナルさん。あんたは俺たちをここに運ぶ前に、戦闘能力が知りたいって言ってたよな? 俺たちもあんたの力が知りたいんだが・・・・・・」

 刀時がレクナルにそう言葉をかける。本題に切り込む言葉にレクナルは頷いた。

「尤もだ。互いの戦闘能力についての情報を共有しよう。あの写し身について分かっている事も教えてくれ」

「けっ、めんどくせえな。・・・・・・だが、分かったよ」

 悪態をつきながらも、最初にレクナルに自分の戦闘能力がどのようなものか教えたのは冥だった。冥に続き、響斬、アイティレ、エルミナ、刀時、ショットもレクナルに自身の戦闘能力についての情報を教えた。レクナルも自身の戦闘能力についての情報を6人に教えた。

「・・・・・・なるほど。教えてくれた事に感謝する。私が聞いた限り、この戦いの鍵になるのは・・・・・・君だな」

 レクナルが瞳を向けた先にいたのは響斬だった。響斬は驚いたようにその糸目を少しだけ見開いた。

「ぼ、僕?」

「ああ。聞いた限り、君の剣は目には見えないものすらも切り裂く事が出来る。それは写し身の体に施されている力・・・・・・概念無力化の力や超再生の力すらも切り裂ける可能性がある」

「いや、確かにそうかもしれないけど・・・・・・僕みたいな不確かな存在に頼るより、あなたの精神を顕す術を使えばいいだけじゃないのかな? 実際、あなた達は顕した精神を攻撃して、魔機神の意識を消し去ったんだよね。なら、また同じ方法を使う方が確実だと思うけどな」

 レクナルに対し響斬は反対とまではいかないが、そう言葉を返した。だが、レクナルは難しい顔を浮かべ、こう言った。

「精神とは意思が形作るものだ。アオンゼウやイズの精神を表に現象化させる事が出来たのは、無機質ではあるが両者に意思があったからだ。・・・・・・だが、あの写し身に意思が、精神があるかと聞かれれば難しい。少し見ただけだが、あれにはどこまでも冷たさしか感じなかった」

「・・・・・・つまり、術を使っても顕す精神がないかもしれないって事か?」

 話を聞いていたショットがそう呟く。ショットの言葉にレクナルは軽く両目を伏せ、首肯した。

「そうだ。あれは意思とも呼べない単調な命令で動いている可能性が高い。私たちを追撃してこないのもその証拠だ。戦闘における判断も機械的な処理に頼っているのではないかと思う」

「確かにな。あいつからは武の鼓動を感じなかった。要はあいつは戦闘用のAIみたいなもので動いてるって事か」

 レクナルの推測に冥が同意を示す。冥の言葉を聞いた響斬と刀時は心底驚いた様子になった。

「冥くん、AIとか知ってたの? え、本当に言ってる? あの戦闘しか頭にない、頭の先から足のつま先まで戦いでいっぱいの冥くんが?」

「あんた、逆にAIなんだそれ的なキャラだろ・・・・・・」

「殺すぞお前ら。俺をなんだと思ってやがるんだ」

 冥は響斬と刀時をギロリと睨んだ。レクナルの話をジッと聞いていたエルミナは大きく首を傾げた。

「うーん、私はあまり頭がよくないから分からないな。ただ、普通に殴っても彼女・・・・・・写し身だったかな? は倒せないって事かい?」

「ああ。イズの写し身である奴には概念無力化と超再生という2つの厄介な力がある。それをどうにかしなければ、私たちの勝機は絶望的というわけだ。その厄介な力をどうにか出来そうなのが、そこの糸目の闇人というわけだ」

「なるほど。糸目くんがその厄介なものをズババンとしてくれれば、私の拳が効くという事か。なら、頼んだ糸目くん。ズババンとどうにかしてくれ」

「え、えー・・・・・・」

 アイティレの説明に納得したエルミナが響斬にビッとサムズアップする。まだ了承してもいないのに勝手に頼まれた響斬は、困り切った顔を浮かべた。

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