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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1852/2051

第1852話 亀裂を巡る戦い、決着4(1)

「風よ。この者たちに癒しを運べ」

 第4の亀裂、アルゼンチン。アイティレ、エルミナ、刀時、ショット、冥、響斬VS魔機神の写し身3号の戦い。写し身の視界を一時的に奪ったレクナルは、魔法を使って負傷している者たち全員に向かって、回復の力を持つ風を吹かせた。緑色の煌めきを乗せた風は、負傷した者たち全員の傷を完全に癒した。

「っ、傷が・・・・・・てめえ、何者だ?」

 エルミナの拳と激突し、ぐちゃぐちゃになった拳と骨が粉々になっていた右腕。それが完全に元通りなったのを見た冥がレクナルに視線を向けた。

「私の名はレクナル。君たちからすれば異世界の者という事になるな。まあ、正確には色々と違うが、シェルディアと同じような存在だと思ってもらえればいい。先ほども言ったように、私は君たちに力を貸しに来た」

 冥の問いかけにレクナルはそう答えた。そして、レクナルは再び写し身に向かって矢を穿つ。写し身はバイザーから矢を引き抜いたところだったが、再び矢にバイザーを穿たれ視界を奪われた。

「取り敢えず、君たちの戦闘に関する能力の事を知りたい。1度それらを確認させてもらう」

 レクナルは右手を軽く動かした。すると凄まじい風が吹き、アイティレ、エルミナ、刀時、ショット、冥、響斬が風で離れた場所へと運ばれた。風を吹かせたレクナルもその風で離れた場所へと移動した。

「・・・・・・」

 写し身がバイザーから再び矢を引き抜き視界を回復させた時には、周囲にレクナルたちの姿はなかった。写し身はセンサーの範囲を広げたが、それでもレクナルたちの存在は捉えられなかった。写し身の存在意義は、世界間の境界が完全に崩壊するまでこの地の亀裂を守る事。亀裂を狙う者が退いたならば、わざわざ追う必要もない。写し身は亀裂を背にジッとその場に佇んだ。











「ふむ、追ってはこないか。あの写し身はあくまで亀裂を守る事が優先らしいな」

 亀裂から離れた岩場の陰に移動したレクナルがそう呟く。もしかすれば追ってくるかと思ったが、いい方向に予想が外れた。これで情報の整理・共有する時間がある程度取れる。

「うわ、気づいたら違う場所にいた。いやー、風に運ばれるってあんな感じなんだな」

「ね。不思議で気持ちがいい気分だったよ」

「風になるってああいうのをいうんだろうな」

 響斬、エルミナ、ショットはまずはそんな感想を漏らした。取り敢えず死地から離れた安心感からか、3人の言葉は少し緩めの言葉だった。

「・・・・・・助けてくれた事には感謝する。確か、レクナル殿だったな」

「ああ」

「態勢を整えるためにこの場所に運んでくれた事も感謝しよう。だが、私たちはすぐに亀裂のある場所に戻らなければならない。私たちには時間がないのだからな」

 アイティレが周囲に視線を向ける。今こうしている間にも空間には亀裂が増え続けている。それは、境界が崩壊するまで残りの時間が少ないという事を示していた。

「君の気持ちは分かる。異世界の勇士よ。だが、無策で戻っても結果は同じだ。あの機械人形・・・・・・姿形から恐らくはアオンゼウの複製体だろうが、魔機神の写し身は無策で勝てる存在ではない。だから、落ち着け」

「っ・・・・・・ふぅー・・・・・・そうだな。あなたの言う通りだ。すまない」

 レクナルの落ち着き払った言葉を聞いたアイティレは、大きく息を吐き自分を落ち着かせると、レクナルの言葉に頷いた。

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