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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1848/2051

第1848話 亀裂を巡る戦い、決着3(1)

「っ、貴様は・・・・・・何者だ?」

 第3の亀裂、南アフリカ。ロゼ、メティ、プロト、エリア、フェリート、殺花VS魔機神の写し身2号の戦い。稲妻の如き速さで全ての機械の剣と端末装置を粉々に砕き破壊し、雷の如き衝撃で以て現れたハバラナスに対し、エリアは理解が追いつかないといった様子でそう問うた。

「俺はハバラナス。今はこのようななりをしているが竜よ。この姿は正直好かんのだが・・・・・・こちらの姿の方が色々と使い勝手がいいのでな」

 ハバラナスがエリアの問いに答える。傷を負い倒れていたフェリートは、自身に回復の力を施し傷を癒し立ち上がると、驚いたようにハバラナスを見つめた。

「あなたは・・・・・・」

「お主は会った事があるな。片眼鏡の男よ。非常に癪ではあるが・・・・・・シェルディアに言われて助太刀に来た。俺としても、我の世界が不自然な変容を強要されるのは許容出来んからな」

「・・・・・・そうですか。感謝します。すみませんが、頼りにさせていただきます」

 フェリートは素直に感謝の言葉を述べた。ハバラナスは「古き者」と呼ばれる、シェルディアと同クラスの実力者だ。そんな存在が戦力になるのならば、戦況は明るくなるはずだ。フェリートはそう考えた。

「・・・・・・」

 写し身は少しの間、ジッとバイザーの青い単眼でハバラナスを見つめると、両腕を砲身に変えた。そして、その砲身をハバラナスに向けようとする。

「やらせん」

 だが、ハバラナスはメティを遥かに超える速度で動き、一瞬で写し身との距離を詰めると、赤い雷を纏う剛腕で写し身の両腕を握り潰した。ハバラナスは右手を引くと、拳を握りハンマーのように写し身の頭部へと叩き落とした。結果、写し身の下の地面が割れ、写し身の頭もひしげる。

「時間を稼ぐ。その間に態勢を整えろ」

「っ、はい」

 ハバラナスの言葉を受けたフェリートは、負傷し倒れている者たちの元に向かい、回復の力を使用した。結果、負傷していたメティ、プロト、殺花の損傷が回復する。

「ありがとうな! これでまた戦えるぞ!」

「っ・・・・・・再び感謝します」

「・・・・・・かたじけない、フェリート殿」

 メティ、プロト、殺花が立ち上がり、フェリートに感謝してくる。自分を含めて一気に回復の力を4度も使ったフェリートは、疲弊した顔を浮かべながらも首を振った。

「いえ、恐らくいま回復の力を使えるのは私だけですからね。役割上、当然の事をしたまでです。ですが、回復の力はもう使えないと思ってください。回復の力の消費はかなり激しい。これ以上使えば、私は戦闘に参加出来なくなるでしょう」

 フェリートがそう付け加える。その言葉を聞いていたロゼはフェリートに対しこう言った。

「なら、いざとなればその役目は私が引き受けよう。光臨を使えば私も回復の力の使用は可能だしね。それより、これからどう立ち回る? 彼は恐らく強力な助っ人だろうが・・・・・・彼1人で彼女を倒す事は出来るのかな」

「・・・・・・それは難しいでしょうね。あの人形はイズの写し身です。概念無力化と超再生の力。その2つが写し身に備わっている限り、いかに竜といえども写し身を倒すのは不可能に近いと思われます」

 フェリートはハバラナスの戦闘能力を詳細に知っているわけではない。だが、古き者たちがアオンゼウの器を破壊出来なかったという事実と、ハバラナスがレクナルのように精神を具現化する術を使えないという事は知っている。ゆえに、フェリートはそう推測した。

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