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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1831/2051

第1831話 亀裂を巡る戦い5(4)

「・・・・・・」

「ふん、どうよ。ああでも、やっぱりこれ魔力の消費が大きいわね・・・・・・疲れるわ」

 胸部を貫かれた人形は無言で貫かれた箇所を見下ろす。そこには焼かれたような穴が空いていた。キベリアは一瞬ドヤ顔を浮かべたが、次の瞬間にはそんな言葉を吐いていた。

「おおっ、やるじゃねえか。流石は『魔女』サマだ。だが、俺の予想通りなら・・・・・・」

 ゾルダートが初めて写し身にダメージを与えたキベリアに称賛の言葉を送る。しかし、ゾルダートは油断なく写し身を見上げていた。すると、写し身の体に胸部に空いていた穴が綺麗さっぱり塞がった。

「・・・・・・」

「やっぱりな。自動再生の力も持ってやがるか。確定だな。あいつはイズって奴の複製体だ」

「ちっ、やっぱりかよ。共有してた情報と類似点が多すぎるから嫌な予感はしてたが・・・・・・」

 写し身の正体に辿り着いたゾルダートの言葉に同意するように、菲も最悪といった顔を浮かべる。イズの能力の凄まじさは聞き及んでいる。イズの力を有するモノに、この戦力で対処できるかどうか、冷静に戦力差を分析していた菲は、頭の中で絶望的な未来図を描かずにはいられなかった。

「あんたら、一旦退がるぜ。近距離で無駄な攻撃ばっかしてたら意味ねえからな」

「闇人が私に指図しないでくださいまし。ですが、仕方ないですわね」

 ゾルダートの指示に文句を言いながらも、メリーはキベリアや菲がいる位置まで後退した。メリーに続き、葬武、イヴァンも同じ位置まで後退する。

「しっかし、あいつがイズって奴の複製体なら1つだけ引っかかる事があるんだよな。あいつの体には概念無力化の力がある。ゼノからパクった『破壊』の力が効かなかったしな。だけど、キベリアさんの魔法は効いた。そこが分からねえんだよ。魔法ってのは概念を操るものじゃないのか?」

「違うわよクズ。魔法っていうのは、概念を現象としてこの世界に現すものよ。まあ、魔術と一緒ね。概念という高次元のものを現象という低次元に落とし込み、具体化させる。それが魔道よ。だから、概念じゃないわ」

「ほー・・・・・・なんか頭が痛くなるような話だな。だがまあ、要はキベリアさんの魔法はあいつに有効って事だな。この事実はまあ希望だよな」

 キベリアの説明を受けたゾルダートがニヤリと笑う。例え、相手が無限の自動修復能力を有していても、こちらに通る攻撃があるという事実は大きい。ゾルダートは感情と理性の狭間で、写し身を倒す方法を思考した。

「・・・・・・!」

 宙から敵である6人を見下ろしていた写し身は、両腕を砲身に変化させ、魔法陣から大量の端末装置を呼び出すと、それらを一斉に地上に向けた。端末装置は次々とレーザーを発射する。その結果、6人の上からは光の雨が降り注いだ。

「はっ、嫌な攻撃するねえ!」

「くっ!」

「今度は上からかよ・・・・・・!」

「ふん・・・・・・」

「ちっ、9の闇、光を飲み込む暗穴へと変化する!」

「おい『魔女』! 私も入れろ!」

 ゾルダートは『加速』の力を施しているので容易に、メリー、イヴァン、葬武は必死に光の雨を避ける。キベリアは暗闇の穴を傘のように創造し、そこにレーザーを吸い込ませ身を守った。菲はそんなキベリアの近くに避難した。

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