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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1824/2051

第1824話 亀裂を巡る戦い4(2)

「おいおい、何食ったらライフル弾が効かない体になるんだよ・・・・・・泣きそうだぜ。俺の存在意義どうよ」

 遠く離れた岩の上から写し身を狙撃したショットは、スコープから目を離し落胆した。

「・・・・・・!」

 写し身は召喚していた機械の剣と端末装置を使って、冥、響斬、アイティレ、エルミナ、刀時に攻撃を仕掛けた。5人はそれぞれその身体能力と、戦闘の経験値を以て回避した。

「いや、これはマズイね・・・・・・! まだまだなまくらのぼかぁ避けるだけで全力だぜ・・・・・・!」

 響斬は必死に剣とレーザーを回避する。そして、近くにいた冥に対しこう叫ぶ。

「冥くん! 数秒だけ僕のやつの注意を引いてくれ! ちょっと試したい事がある!」

「はっ、仕方ねえな!」

 冥はすぐさま響斬の言葉を受け入れると、響斬に近づいた。同時に、響斬が後方に飛ぶ。その結果、響斬を狙っていた剣と端末装置はその狙いを冥に変えた。

「おい響斬! しくったら殺すからな!」

 響斬の分の攻撃も引き受けた冥は、アクロバティックに剣とレーザーを避けながらそう言った。

「分かってるよ。さて、やるかな」

 響斬は腰を落とし、右手で鞘に収まっている剣を握った。いわゆる抜刀術の構えだ。そして、意識を集中させた。

「我流、裏剣術。『飛斬とびきり』」

 響斬は冥を襲う機械の剣の1本に狙いを定めると、バッとその場で剣を抜いた。冥と響斬との距離はかなり離れている。普通ならば、斬撃が届くはずがない。

 しかし、響斬の闇の性質は『拡大』。その闇の性質により、響斬の斬撃は冥を襲う機械の剣に届く。

 飛ぶ斬撃が機械の剣を襲う。光と闇の決戦が終わってからも、剣の修行を続けていた響斬の斬撃は、かつての自分とほとんど遜色のないものにまで高められていた。かつては闇の力を使わずに、ただの斬撃で『硬化』の力を纏う冥すら切り裂く、神域に至っていた響斬の剣の力。ただの斬撃に、概念無力化の力は働かない。

 その結果、キンッという音を立てて、機械の剣の刀身は半ばから両断された。

「斬れたか。よかった。じゃあ・・・・・・『飛斬・らん』」

 響斬は目にも止まらぬ速度で剣を振るった。その度に飛ぶ斬撃が放たれ、その斬撃は冥を襲う機械の剣や端末装置を次々と切り裂き、冥だけには止まらず、他の者たちを襲っている機械の剣と端末装置を切り落とした。

「っ・・・・・・」

「マジかよ・・・・・・」

「おおっ、なんか勝手に壊れた」

 その光景にアイティレ、刀時は驚き、エルミナは不思議そうな顔を浮かべた。

「どうやら、ちゃんと修行は続けてたみたいだな。よし、殺すのはナシにしてやる」

「そいつはどうも、って言っとくべきかな」

 ニヤリと笑った冥に響斬も笑みを返す。概念の力に頼らない純粋なる剣の力。それは、写し身にも届き得る稀有な力だった。

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