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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1820/2051

第1820話 亀裂を巡る戦い3(3)

「おおっ、ありがとうな!」

「っ、なぜあなたが・・・・・・」

 フェリートに助けられたメティは素直に感謝し、プロトは驚いた顔になった。

「一応、今の私たちは共闘する立場にありますからね。困るんですよ。早々に戦力が減ってしまうのは」

「・・・・・・そうですか。取り敢えず、感謝を。助けていただいてありがとう。闇人、フェリート」

 地面に降ろされたプロトはフェリートにそう言った。プロトも人間だ。長年敵対してきた闇の勢力とのわだかまりは、未だに完全に払拭は出来ていない。しかし、危ないところを助けてもらった礼は人として言わねばならなかった。

「『守護者』を失わなかったのは僥倖だが・・・・・・どう攻める。恐らくだが、奴と俺たちとでは速度の次元が違う。このままでは一方的に攻撃されて終わりだぞ」

「出来る限り私が対処します。速度の話であれば、ギリギリ着いていく事は可能ですからね。ただし、あなたが言うように攻めの手段が問題です。・・・・・・少し試したい事があるので、失礼しますよ」

 フェリートは強化し『加速』された肉体で地を蹴った。神速の速度で一瞬で写し身との距離を詰めたフェリートは右手に『破壊』の力を纏わせた。

「執事の技能、壊撃ブレイク

「・・・・・・!」

 接近してきたフェリートに対し、写し身は右腕の剣、左腕の光刃による乱撃を行った。それは神速の斬撃の結界。敵を粉微塵にし、自身を守るものだった。

「ただ雑に振るえばいいというものではありませんよ」

 だが、フェリートはそれを脅威とは感じなかった。レイゼロールやシェルディア、ゼノなどには及ばないが、フェリートの戦闘経験値もかなりのものだ。フェリートは写し身の斬撃が一定のペースで行われている事を見抜くと、写し身の手を振る速度と自分の手の速度を合わせ、そっと『破壊』を宿した右手で写し身の左腕に触れた。

 普通ならば、すぐに『破壊』の力を示す黒いヒビが入る。しかし、写し身の右腕にはヒビは入らなかった。

「・・・・・・やはりですか」

 フェリートは即座に腕を引いた。次の瞬間、その空間が切り裂かれる。フェリートは後退した。

「どうやら、本体と同じようにあの個体は概念の力を無力化するようです。つまり、硬度を無視したような特殊な攻撃は意味を持ちません」

「物理的な攻撃はほとんど通らず、特殊な攻撃も通らない・・・・・・ふぅー。やれやれ、骨が折れるな」

 フェリートの情報にエリアが小さく息を吐く。正直、骨が折れるどころではない。とんだ無理難題だ。それはエリアだけでなく、この場にいるほとんどの者がそう思っていた。

「ふむ、特殊な攻撃が効かないとなると、私の本質を描いて対象を無力化するという攻撃も無意味と考えるべきかな」

「どうですかね。あなたのそのやり方が概念といえるかどうかは分かりませんが・・・・・・取り敢えず、あなたは描き続けてください。希望がないよりはマシですからね」

「了解したよ。といっても、あの機械人形の本質はかなり見えにくいし、いつ描き上がるか分からないがね」

「・・・・・・出来るだけ早く頼みますよ」

 フェリートはロゼに対しそう言うと、全身に『硬化』の力を施した。

「執事の技能、分身ダブル

 フェリートは2人に分身し、再度写し身に突撃をかけた。

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