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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1819/2051

第1819話 亀裂を巡る戦い3(2)

「よーし、次は私の番だ! 行っくぞー!」

「お供しますよ、レガール嬢」

 メティが『閃獣』の2つ名に恥じぬ速度で、写し身へと接近する。メティと共にプロトも地を蹴る。メティは両手に装備したクローナイフを上段から大きく振り下ろした。

「・・・・・・」

 写し身は左腕の砲身でメティの攻撃を受け止めた。そして、背中の魔法陣を起動させると、そこから複数の端末装置を呼び出した。端末装置はメティを囲むように配置され、レーザーを放とうとする。

「おおっ? 何かヤバそうだ!」

 メティが本能で危機を察知する。だが、いくら素早いことで知られるメティでも、この状況から今すぐに逃れる事は出来ない。つまり、このままではメティが複数のレーザーを受ける事は確実だ。

「失礼」

 しかし、メティとレーザーの間にプロトが割って入った。プロトは目にも止まらぬ速度で剣を振るった。レーザーが放たれたのはそれとほとんど同時だった。だが、奇跡というべきか、先ほどまで確実にメティを狙っていたレーザーは、微妙に狙いを外しており、その結果、レーザーは紙一重の隙間でメティには当たらなかった。

「わっ! 凄い何にも当たってないぞ! ありがとな!」

「どういたしまして」

 感謝の言葉を述べるメティにプロトはニコリと微笑んだ。

(守護者の1位・・・・・・実力は分かっているつもりでしたが・・・・・・本当に人間ですか?)

 プロトが何をしたのかをしっかりと見ていたフェリートは、内心で思わずそう呟いた。プロトは剣で端末装置の銃口を全て逸らしたのだ。剣をトンカチ代わりとして、メティやプロト本人に当たらないように、剣で端末装置に与える衝撃を1つ1つ全て調整した。それは、剣の腕、咄嗟の判断力、戦闘の経験値、即座の計算能力、それら全てが最高峰でなければ出来ない神業だった。

「よーし、なら今度はもっと速く動くぞ!」

 メティがその身にパチパチと雷のようなものを纏う。メティは雷速の如き速さで動くと、縦横無尽に駆け、写し身に爪撃による連続攻撃を仕掛けた。メティの攻撃に合わせるように、プロトも写し身に向かって剣を振るう。

「・・・・・・」 

 雷の嵐のような攻撃に、しかし写し身は当然の如く反応する。写し身は爪撃と斬撃の嵐を全てを認識し、最硬質の体で受け止めると、右腕の剣をメティに、左腕の砲身を変化させた光刃をプロトに向かって放った。それは2人が攻撃を行った直後、つまりは不可避のタイミングだった。

「おわ!?」

「っ・・・・・・」

 避け切れないと悟ったプロトは左手で軽くメティを押した。その結果、斬撃の直線上からメティの体がズレる。これで、メティは浅く右腕の付け根が斬られるだけで済む。だが、プロトは間違いなく光刃を受けるだろう。受け方によっては即死も免れない。

(光導姫を守るのが守護者の役目。死にいく事を美学とするつもりはないけど、これでもし死んでしまっても僕に後悔はない)

 しかし、プロトは既に覚悟していた。それは自暴自棄でも自己満足でもない。恐らくは、高潔と評されるであろう覚悟だった。

「自分を犠牲にしてまで光導姫を守る・・・・・・全く呆れますね」

 だが、プロトが光刃に切り裂かれる事はなかった。『加速』の力を施したフェリートが、プロトとメティを抱え、間一髪のところで2人を助けた。

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