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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1818/2051

第1818話 亀裂を巡る戦い3(1)

執事の技能(スキルオブバトラー)刃物の雨(ブレードレイン)。まずは、あなたの性能がどれだけイズに近いのか試させてもらいます」

 第3の亀裂、南アフリカ。始まった魔機神の写し身2号との戦い。最初に動いたのはフェリートだった。フェリートは自身の周囲に数百もの闇色のナイフを創造すると、それを写し身に向かって放った。

「・・・・・・」

 写し身は迎撃行動も回避行動も取らなかった。数百もの闇色のナイフは写し身に殺到する。ナイフの雨は捉えたモノを容赦なく穿つ、はずだったが、それらは全て写し身の体に弾かれた。

「この程度の攻撃なら難なく弾きますか」

「ふむ、硬いね」

 フェリートとロゼはそれぞれそう呟いた。

「おおっ、カンカンってナイフが弾かれたぞ! あいつの体どうなってるんだ!?」

「恐らく、体が鋼鉄か何かで出来ているんだろう。普通に考えれば、斬撃、打撃、銃撃・・・・・・ほとんどの攻撃は通らないだろう。だが・・・・・・それをどうにかするのが一流だ」

 驚くメティにそう言いながら、エリアは目にも止まらぬ速さで銃撃を行った。エリアの放った複数の弾丸は全て写し身の体に命中した。だが、結果は先ほどと同じだ。弾丸は全て写し身の体に弾かれた。

「・・・・・・ふむ。やはりこうなるな。しかし、陽動は果たせた」

 エリアがそう呟くと同時に、写し身の背後にスッと突然殺花が現れた。フェリートが攻撃を仕掛けたと同時に殺花は姿を消していた。その事に気づいていたエリアは、自分が攻撃を行う事で敢えて写し身の注意を引いたのだ。広い視野と咄嗟の上質な判断。それは間違いなく、エリアの長所だった。

「影よ、刃に溶けろ」

 殺花は自身の影を右手のナイフに纏わせ同化させた。闇色の刃となったナイフを殺花は写し身の首目掛けて振るった。

「・・・・・・!」

 しかし、写し身はまるで殺花が背後にいるのを知っていたかのように殺花の攻撃に対応した。写し身は体を捻りナイフによる斬撃を回避すると、左腕の砲身をカウンター気味に殺花に向けた。同時に、砲身に全てを灰燼に帰す光が瞬く。

「っ・・・・・・!?」

 殺花の本能が最大限の警鐘を鳴らす。戦いは始まったばかりだが、殺花は幻影化を使用した。殺花の体が陽炎のように実体を失う。そして、灰燼の光が放たれた。

「・・・・・・あれに反応し、あまつさえ、己に幻影化まで使用させるか」

 写し身から離れた場所で実体化した殺花は険しい顔を浮かべた。今の攻防はどう見ても殺花の惨敗だ。幻影化がなければ、今頃あの光に灼かれていただろう。そう考えるならば、ダメージを受けなかっただけ幸運というべきか。

 ちなみに、どうして概念無力化の力を有する写し身の攻撃が、幻影化を貫き殺花に損傷を与えられなかったのかというと、それは幻影化が概念か事象か曖昧であるという事実が関係している。その結果、概念無力化の力が働かなかったのだ。

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