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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1809/2051

第1809話 忌神の神殿(4)

「そろそろいいだろ。いずれバレる。お前の俺への態度やらでな。実際、香乃宮はもう気づいてるぞ」

「え?」

 暁理が光司の方に顔を向ける。すると、光司は苦笑した。

「まあ、声とか影人くんに対する絡みが早川さんそのものだったからね。といっても、僕も気づいたのはついさっきだけど」

「ほらな」

「あー・・・・・・まあそっか。僕の場合は影人とは違ってフードで顔を隠してるだけだもんね。流石にバレるか」

 暁理はしまったという風に軽く息を吐くと、エメラルドグリーンのフードを取った。

「別に正体を隠してた事に深い理由はないんだけど、改めて光導姫ランキング25位アカツキ、早川暁理です。ごめんね、朝宮さんに月下さん。今まで黙ったままで」

「ううん、全然! でも早川さんも光導姫だったなんて凄い偶然だね! しかもランキング25位なんて凄い!」

「こちらこそ。改めてよろしくね早川さん。それにしても、ウチの学校、扇陣高校でもないのに光導姫と守護者がけっこう多かったのね・・・・・・」

 陽華と明夜が快く暁理の挨拶を受け入れた。

「へえ、アカツキさんの顔ってそんな感じだったのか。美人さんじゃん」

「あ、小学校で影くんと一緒にいた子だったんだ」

 その様子を傍から見ていた壮司とソニアもそんな言葉を呟いた。

「・・・・・・バカバカしい」

 付き合いきれないといった様子で、ダークレイがスロープのある方に向かって歩き始める。すると、そのタイミングで、

「・・・・・・!」

 天井の一部を突き破って何かが降ってきた。それは鋼色の巨大な蠍のようなもので、背中には何やら銃火器のようなものが装備されていた。

「「「「「「っ!?」」」」」」

 突如として現れたその怪物に、陽華、明夜、暁理、ソニア、風音、光司が衝撃を受ける。

「おー、何かデカブツが来たな」

「・・・・・・まあ、何かが来るだろうとは思ってたぜ」

「ふん、どうせまた雑魚でしょ」

 壮司、影人、ダークレイの3人はさしたる驚きもなく蠍のような怪物を見つめた。

「・・・・・・!」

 怪物は背中の銃で影人たちに弾丸の雨を放った。影人は右手を前方に伸ばし、全員を守れるように闇色の障壁を展開した。弾丸は全て障壁に阻まれる。

「っ、ありがとう影くん」

「礼はいい。さっさとあいつを瞬殺するぞ」

 感謝の言葉を述べるソニアに影人は金の瞳で一瞥を返した。

「んじゃまあ働きますか」

「行くよ!」

 壮司は異空間から大鎌を呼び出し、暁理は剣を持ちながら怪物へと駆けた。2人は光導姫と守護者の身体能力で一気に距離を詰めると、それぞれの獲物を怪物に振るった。

「っ、見た目通り硬えな・・・・・・!」

「これ、まんま鋼じゃないか・・・・・・!」

 だが、2人の一撃が怪物にダメージを与える事はなかった。大鎌と剣はガキンという音を立てて、怪物の外皮に阻まれた。

「・・・・・・!」

 怪物が2人に両手の巨大な鋏を振るう。壮司と暁理は大きく跳躍しその攻撃を躱した。

「っ、2人とも! この!」

「はあッ!」

「援護するわ!」

攻撃の(ストライク)――!」

「第1式札から第10式札、光の矢と――!」

 陽華と光司が突撃をかけ、明夜、ソニア、風音は援護攻撃を行おうとする。しかし、その前に2つの影が動いた。

闇技あんぎ発動、ダークブレット」

「言っただろ。瞬殺だ」

 ダークレイは両手のグローブに闇を纏わせ、その右拳を怪物に穿ち、影人は右足に闇を纏わせ、怪物の背中に蹴りを落とした。闇の力で強化された2人の一撃は強力だ。その結果、

「・・・・・・!」

 怪物の体にみるみるヒビが奔り、やがて怪物は全身を砕け散らせた。

「ふん、やっぱり雑魚だったわね」

「だな」

 砕け散った怪物の残骸をダークレイと影人はつまらなさそうに見つめた。

「え、もう終わり・・・・・・?」

「流石はスプリガンとダークレイね・・・・・・」

「いやー、敵だとおっかないが味方だと頼もしい限りだな」

「なんか、影人って本当にスプリガンなんだね・・・・・・」

「やるねお2人さん♪」

「ありがとう帰城くん。ダークレイさん」

「・・・・・・本当に頼もしいですね」

 一瞬にして怪物が倒された事に、陽華、明夜、壮司、暁理、ソニア、光司、風音がそれぞれの反応を示す。影人とダークレイはその言葉に反応する事なく、先に向かうべく歩き始めた。

「行くぞお前ら。取り敢えず、ショートカットの方法は道中に考える」

「うん!」

「ええ。この最強チームならきっとすぐに最上階まで辿り着くわ」

 チラリと振り向いた影人に陽華と明夜が頷く。陽華と明夜、それに他の者たちも影人とダークレイの後に続いた。

 ――こうして、影人たちは忌神の神殿を進んで行った。

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