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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1805/2051

第1805話 とある兄妹の再会、6つの亀裂(5)

「はあー・・・・・・最悪ですわ。何でよりにもよってあなたと共に戦わなければなりませんの」

 第5の亀裂、アメリカ。都会のど真ん中にある大きな亀裂。その場所で大きくため息を吐いたのは、光導姫ランキング6位『貴人』メリー・クアトルブだった。

「けっ、そりゃこっちのセリフだ。報酬さえなけりゃ、誰がお前と組むかよ」

 嫌そうな顔でメリーにそう言葉を返したのは、光導姫ランキング第9位『軍師』胡・菲。メリーと菲は互いの価値観が合わない、いわゆる犬猿の仲だった。

「ははっ、冥と殺花嬢みてえだ。光導姫にも仲の悪い者同士はいるもんなんだな」

「お黙りなさいゲス闇人。あなたと組むのも最悪なことですわ」

 陽気に笑ったゾルダートにメリーはギロリと厳しい視線を向けた。ゾルダートは「おお怖っ」とわざとらしく肩をすくめる。

「ただでさえゾルダートなんかと組まされて最悪なのに、光導姫まで面倒くさそうなんて・・・・・・終わってるわ・・・・・・」

 キベリアは絶望しきった様子で、死んだ魚のような目を浮かべていた。場の空気は完全に悪いものになっていた。

「・・・・・・なんか胃が痛くなってきた。はあー、帰りたい・・・・・・」

「・・・・・・どうでもいい事だ」

 左手で軽く腹をさすりながらそう言葉を漏らした、守護者ランキング5位『凍士』イヴァン・ビュルヴァジエンに、守護者ランキング6位『天虎』練・葬武は一言だけそう言葉を吐いた。

「・・・・・・まあいいですわ。世界の危機ですもの。例え、最悪な相手と組まなければならないとしてもやるしかないですわ。淑女の嗜み国際条約第37条。淑女はどんな事でもやり遂げる。やってやりますわよ!」

 メリーが剣と銃を構える。メリーの言葉を聞いたゾルダートはニヤリと笑った。

「おう。その意気だぜお嬢さん。傭兵やってりゃ、この前の敵が味方になったなんてしょっちゅうだ。さあて、じゃあ戦るかね。楽しい楽しい戦いをよ!」

「私らは正確には傭兵じゃないがな。・・・・・・だがまあ、やってる事は傭兵みたいなもんだ。いいぜ。割り切ってやってやる」

「あーもー・・・・・・! キレたわ。面倒くさい。やってやるわよ! もし酷い目にあったら、レイゼロールとシェルディアのロリババアを呪ってやる!」

「うわ、何か急にキレた・・・・・・本当、早く帰りたいから頑張ろ」

「機械相手からどれだけ鍛錬を積めるからは分からんが・・・・・・せいぜい糧にさせてもらう」

「・・・・・・!」

 ゾルダート、菲、キベリア、イヴァン、葬武もメリーと同じように戦意を燃やし、敵である人形を見つめる。人形も青い単眼をブゥンと強く輝かせ、武装を駆動させた。

 ――第5の亀裂、アメリカ。『貴人』メリー・クアトルブ、『軍師』胡・菲、『凍士』イヴァン・ビュルヴァジエン、『天虎』練・葬武、『強欲』のゾルダート、『魔女』のキベリアVS魔機神の写し身4号。戦闘開始。










「・・・・・・こんなもんか」

 そして第6の亀裂、日本。ダークレイと共に大量の機械人形を迎撃した影人は、地に倒れる人形の残骸をつまらなさそうにその金の瞳で見下ろしていた。

「・・・・・・ふん。雑魚がいくら来たところで無駄なのよ」

 ダークレイも影人と同じように倒した人形たちを見下す。城の中から人形が出てくる気配はない。取り敢えずは一旦これで終わりという事だろう。影人とダークレイからすれば、人形たちの迎撃は単純作業のようなもので、戦いですらなかった。

「さて、どうする闇導姫。このまま中に2人で突撃でもかけるか?」

「・・・・・・別にいいわよ。ただでさえ時間がないのに、応援がどれくらいで来るのかも分からないし。その代わり、あんた私の盾になりなさいよ」

「無茶苦茶だなおい・・・・・・だがまあ、承ったぜ」

「ならさっさと行くわよ。盾」

 影人とダークレイが城の入り口を目指し歩き始める。すると、後方からこんな声が聞こえてきた。

「――そこのお2人さん。ちょっと待ってくれるか?」

 それは男の声だった。影人とダークレイが振り返る。

「よう、頼りねえかもだが援軍に来たぜ。あんたはすぐさまの援軍は拒否したみてえだが、人数の振り分け的に余っちまってな。ま、そういうわけでよろしく頼むぜ」

「微力ながら力になるよ。スプリガン」

「はーい影くん♪ 助けに来たよー♪」

「光導姫『巫女』、参りました。私も微力ながらお力に」

 現れたのは4人の男女――守護者ランキング第4位『死神』案山子野壮司と守護者ランキング第10位『騎士』香乃宮光司。光導姫ランキング第2位『歌姫』ソニア・テレフレア、光導姫ランキング第4位『巫女』連華寺風音だった。

 そして、それだけでなく――

「来たよ帰城くん!」

「ふふん、主役は遅れて来るものよね」

「全く、戦いになったら僕を呼べって言ったのに・・・・・・呼ばないから僕の方から来てやったよ。感謝しろよ、妖精さん」

 光導姫レッドシャイン、朝宮陽華。光導姫ブルーシャイン、月下明夜。光導姫アカツキ、早川暁理。3人の少女もそこにはいた。


 ――6つの亀裂に、役者は着実に揃いつつあった。

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