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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1804/2051

第1804話 とある兄妹の再会、6つの亀裂(4)

「おおっ、なんか動き始めたぞ!?」

 第3の亀裂、南アフリカ。こちらも昼間。岩場にある大きな亀裂の前にいた機械人形が武装を纏ったのを見た、光導姫ランキング8位『閃獣』メティ・レガールは驚いたようにそう言った。

「ふむ。少女の姿をしたモノが重厚でスタイリッシュな武装を纏う・・・・・・うん、いいね。これもまた美だ」

 興味深そうにそう言ったのは、光導姫ランキング第7位『芸術家』ロゼ・ピュルセだ。

「あれが美しいですか。その感覚は理解に苦しみますね」

「・・・・・・恐らくは、一騎当千の力を持った絡繰。己も美は感じないな。むしろ、悍ましい」

 ロゼの言葉に反応したのはフェリートと殺花だ。2人は警戒感を全開にして、人形を見つめていた。

「僕はピュルセ嬢の感覚も分かるかな。見ようによっては一種の美術品だからね」

「・・・・・・そうだな。一流は審美眼を持つものだ。俺から見ても、奴には『強さ』という美を感じる」

 優雅な笑みを浮かべながらもその翡翠の瞳に鋭い色を持つのは、守護者ランキング第1位『守護者』プロト・ガード・アルセルト。右手に銃を持ち左手で軽く帽子を押さえたのは、守護者ランキング第7位『銃撃屋』エリア・マリーノだ。2人ともいつ戦いが始まってもいいように、体に緊張感を奔らせていた。

「・・・・・・!」

 機械人形が右腕の砲身を剣に変形させる。それが戦いを知らせる合図となった。

「おお、やるか!? よーし、行くぞ!」

「さて、描かせてもらおうかな君の本質を」

「では、僕たちの使命を果たそうか」

「使命ではなく契約だがな。一流として、今回も仕事はきっちりとするだけだ」

「足だけは引っ張らないようにお願いしますよ」

「・・・・・・参る」

 メティ、ロゼ、プロト、エリア、フェリート、殺花がそれぞれ構えた。

 ――第3の亀裂、南アフリカ。『芸術家』ロゼ・ピュルセ、『閃獣』メティ・レガール、『守護者』プロト・ガード・アルセルト、『銃撃屋』エリア・マリーノ、『万能』のフェリート、『殺影』の殺花VS魔機神の写し身2号。戦闘開始。











「おいおい、期待して来てみりゃ・・・・・・何だよ。こいつが敵か? どう見ても機械の人形じゃねえか」

 第4の亀裂、アルゼンチン。早朝。深い谷の近くにある大きな亀裂。明らかな落胆の声を漏らしたのは冥だった。

「まあまあ、落胆するのはまだ早いぜ冥くん。それにしても・・・・・・いや、眼福だな。機械少女が実際に武装しているのを3次元で見られるとは。いやー、実に2次元チックでいいね」

 満足そうな顔でそう言ったのは響斬だ。サブカルチャーに深い興味を持っている響斬ならではの感想だ。

「いやー、分かるぜ。いいよな少女が武装してるの。萌えるって感じだ」

「分かる分かる。ジャパニーズ萌えを感じるぜ。キュートだ」

 うんうんと頷いたのは守護者ランキング3位『侍』剱原刀時と、守護者ランキング第8位『狙撃手』ショット・アンバレル。

「・・・・・・敵に対して何を言っている。バカ者どもめ・・・・・・」

「でも、実際なんかグッとくるよ? なんかこう硬そうというか強そうというか」

 呆れ切ったように、光導姫ランキング第3位『提督』アイティレ・フィルガラルガが首を横に振った。対して首を傾げたのは光導姫ランキング第5位『鉄血』エルミナ・シュクレッセン。

「まあいいや。歯応えがなけりゃ一瞬でスクラップにして、日本の亀裂に行けばいいだけだしな。おら、戦るぜ」

「あんまり美少女を斬りたくはないんだけどね。だけどまあ、仕方ないか」

「ああ、戦いってのは非情だからな」

「じゃ、俺は適当に後方支援するんで」

「世界のためだ。その正義のためにお前を排除する」

「機械は硬そうだけど・・・・・・うん。頑張って殴る」

 冥が拳を構え、響斬は剣を抜く。刀時も響斬と同様に剣を抜き、ショットは後方に下がる。アイティレは両手の銃を機械人形に向け、エルミナはグッと拳を握った。

「・・・・・・!」

 戦意にあてられたかのように、機械人形の背に魔法陣が出現する。次の瞬間、そこから大量の剣が現れた。

 ――第4の亀裂、アルゼンチン。『提督』アイティレ・フィルガラルガ、『鉄血』エルミナ・シュクレッセン、『侍』剱原刀時、『狙撃手』ショット・アンバレル、『狂拳』の冥、『剣鬼』の響斬VS魔機神の写し身3号。戦闘開始。

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