第1803話 とある兄妹の再会、6つの亀裂(3)
「兄妹喧嘩といこうか。レールとするのは多分初めてだね」
「ふん、例え兄さんであろうと勝たせてもらうぞ」
「その意気だよ。じゃあ、始めようか」
レイゼロールが目を細め、レゼルニウスも笑みを消す。
そして、
「行くぞ、レゼルニウス」
「来い、レイゼロール」
2人は敵としての互いの名を呼び合うと、次の瞬間に氷の地を蹴った。
――第1の亀裂、ロシア。闇の女神レイゼロールVS冥界の神レゼルニウス。戦闘開始。
「ふーん・・・・・・なるほど。君が敵か」
場所は変わりイギリスの亀裂。こちらも日本とは違い昼間だ。とある山の中腹辺りにある大きな亀裂。その前にいた人の姿をしたモノを見つめながら、ゼノはそう呟いた。
「・・・・・・」
亀裂を守るように立っていたのは、一見すると少女のようだった。プラチナホワイトの髪にスクール水着のような衣装。体に奔るライン。それはアオンゼウの器と全く同じ特徴だ。だが、アオンゼウの器と1つだけ違うのは顔にヘッドギア、正確にはバイザーのようなものが装着されている点だった。バイザーには青い目が1つボゥと灯っていた。
「イズじゃないね。だけど、イズに酷似してる・・・・・・さしずめ、イズを模した機械人形って感じかな」
「ふむ、なるほどー。機神の写し身ですか。いやはや、これは強力な相手ですねー」
芝居がかかった仕草で困ったというふうに首を振ったのはクラウンだ。
「ふはははっ! 相手にとって不足なしよ! 最近体が鈍ってたから丁度いいわ! 『呪術師』の力を存分に見せてあげるわ!」
「私も頑張ります!」
高笑いを上げたのは、光導姫ランキング第10位『呪術師』榊原真夏。そして、小さく両手を握ったのは光導姫ランキング第1位『聖女』ファレルナ・マリア・ミュルセールだ。
「はぁ、面倒くさい。定期的に世界の危機訪れ過ぎでしょ」
「・・・・・・同意だな」
ため息を吐いたのは守護者ランキング第9位『弓者』ノエ・メルクーリ。同意したのは守護者ランキング第2位『傭兵』ハサン・アブエイン。イギリスの亀裂に集った実力者たちは、その6人であった。
「・・・・・・」
イズの姿を模した機械人形がその青い単眼を6人に向ける。すると、人形は無言で右手を水平に伸ばした。次の瞬間、どこからか武装が出現し人形に装着される。その兵装もイズが纏う滅式兵装と酷似していた。
「早速戦いみたいだね。じゃ、一応よろしく頼むよ。ファレルナ、その他の光導姫と守護者」
「はい、ゼノさん。みんなで力を合わせましょう!」
「やったるわよピエロ! あんたの根性見せなさい!」
「道化に根性を求めますかー。ですが、頑張りましょう。呪術師と道化師、そして光と闇の共闘ショーの開幕ですー」
「面倒いけど、今回もやるしかないか」
「・・・・・・俺は傭兵だ。報酬さえあれば、どんな奴とだって組んで、どんな奴とでも戦ってやる」
起動した人形に対し、ゼノ、ファレルナ、真夏、クラウン、ノエ、ハサンの6人も戦闘態勢を取る。
「・・・・・・!」
戦闘の開始を告げたのは、人形が右腕の砲身を6人に向けた事だった。次の瞬間、砲身から破滅の光が放たれた。
――第2の亀裂、イギリス。『聖女』ファレルナ・マリア・ミュルセール、『呪術師』榊原真夏、『傭兵』ハサン・アブエイン、『弓者』ノエ・メルクーリ『破壊』のゼノ、『道化』のクラウンVS魔機神の写し身1号。戦闘開始。




