表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1799/2051

第1799話 幕開、忌神との決戦(3)

「――そろそろ、彼らが直接的に対応する頃ですかね」

 どこかの広い室内。フェルフィズはその部屋の中心部で佇んでいた。フェルフィズの呟きに、少し離れた場所で待機していたイズが小さく頷いた。

「はい。()()を通して、各亀裂の周囲に光と闇の気配を感じます。光導姫と守護者、そして闇人たちと思われます」

「そうですか。長年争っていた光と闇が手を組み、世界を守るために戦う・・・・・・うーん、お涙頂戴。感動的な物語ですねえ」

 フェルフィズはわざとらしい仕草で両手を掲げた。そして、すぐさま両手を下ろす。

「ですが、現実は感動的な物語のようにはいきません。ハッピーエンドとはいきませんよ。何でもかんでもハッピーエンドという展開が私は1番嫌いですからね」

「・・・・・・製作者。この亀裂の近くにも闇の気配が生じました」

「ふむ。影人くんは闇の力を扱いますが、気配隠蔽の力を持っていますからね。なら、ここに現れたのは闇人ですかね」

 フェルフィズは適当にそう予想をつけた。たかが闇人如きでは役者不足だが、来たからには丁重に迎えるべきだろう。

「っ・・・・・・製作者。災厄の残滓がすぐ近くに移動して来ました。間違いなく・・・・・・」

「スプリガン。来ましたか彼が。くくっ、なら全てのピースは揃いましたね。せっかくです。一応宣言しておきましょうか」

 フェルフィズは口元をニィと歪ませると、虚空に向かってこう言葉を放った。

「勝つのは私たちか、あなた達か・・・・・・これが本当に最後の戦いです。さあ、未来と滅亡を懸けた・・・・・・狂宴を始めましょう!」












「・・・・・・何だこいつは」

 月が照らす夜の中、日本の亀裂にやって来た影人は正面にある建築物を見てそう呟いた。

 町外れの寂れた景色の中、場所には似合わない大きな建物が聳え立っている。闇夜に紛れるような黒を基調としたその建築物は、ギリシャ風の神殿に西洋風の城や日本風の城が混ざったような、一目で異質と分かる建物だった。大きさや高さも、シスが住んでいた城よりも一際大きい。俗な言葉で形容するならば、それはラスボスのダンジョンだった。

『悪趣味な建物だなおい』

 イヴもそんな感想を漏らす。影人は少しの間、どこか凶々しさを感じさせるその建物を見つめ続けた。

「・・・・・・RPGは嫌いじゃないが、時間も限られてるんだ。せっかくのラストダンジョンだろうが・・・・・・ぶっ壊してやる」

 わざわざこの中に入ってフェルフィズとイズの所まで行く必要はない。この建物を壊してフェルフィズとイズ、そして恐らく建物の中にあるであろう亀裂を引き摺り出す。影人は即座にそう考えると、建物を全壊させるべく闇の力を練り始めた。

「・・・・・・やめなさい、そこのバカ。全く、あいつの言った通りね」

 すると、影人の背後からそんな声が聞こえてきた。気配で既にその人物が背後にいると分かっていた影人は、振り返り、チラリとスプリガンの金の瞳を声の主に向けた。

「・・・・・・意外だな。お前がここに来るとは考えてなかったぜ。・・・・・・ダークレイ」

「ふん、私も来たくて来たわけじゃないわ」

 ダークレイがつまらなさそうに鼻を鳴らす。影人は練り始めた闇の力を1度霧散させた。

「そうかよ。しかし、いきなりバカとはご挨拶だな。俺はただ、効率的な方法を選択しようとしただけだ」

「物は言いようね。でも、あんたが野蛮でバカな事には変わりはないわ」

「はっ、相変わらずキツイな。で、何の用だ。わざわざ俺に小言を言いにきたのか?」

「そんなわけないでしょ。本当、色々とセンスがないわあんた」

 呆れ切ったように、または少し苛ついたように、ダークレイがトントンと右の人差し指で、組んでいた腕を叩く。ダークレイは紫がかった黒の瞳で影人を見つめ返した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ