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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1797/2051

第1797話 幕開、忌神との決戦(1)

「・・・・・・そういうわけだ。お前たちにはこれから亀裂に向かってもらう。亀裂には恐らく何らかの罠が仕掛けられている、もしくは敵がいる可能性が高い。各自、光導姫と守護者と協力してその亀裂を安定させろ」

 辺りが暗闇に包まれた場所。自分の拠点であるその場所で、レイゼロールは集めた9人の男女――闇人たちに対しそう告げた。

「ん、分かった」

「御意に」

 その言葉に『十闇』第1の闇『破壊』のゼノと、第2の闇『万能』のフェリートが了承の意を示す。

「ふん、面倒ね。何で光導姫と守護者と協力なんて・・・・・・」

「まあまあ、そう言いなさんなよ。世界がヤバいんだ。ここは互いに協力しないとどうにもならないぜ。まあ、1回世界を滅ぼしかけた俺らが言う言葉じゃねえがよ」

 文句を呟く第3の闇『闇導姫』のダークレイに、第5の闇『強欲』のゾルダートがどこか薄っぺらい言葉を送った。

「やっと戦いかよ。待ちくたびれたぜ。だが、大将首じゃねえのは面白くねえな。せっかくなら、フェルフィズとイズって奴と戦いたかったぜ」

「じゃあ、出来るだけ早く亀裂を安定させて日本の亀裂に行けばいいよ。正直、僕もちょっと戦ってみたいしね。頑張ろう」

 バチンッと拳を掌に打ち付けながら好戦的な笑みを浮かべたのは、第6の闇『狂拳』の冥だ。冥に釣られるように小さく笑ったのは、第7の闇『剣鬼』の響斬。柔和な見た目をしているが、漏れ出た闘気には修羅の色があった。

「はぁー、もう・・・・・・シェルディア様に言われた魔法がどうにか形になったと思ったら、決戦なんて・・・・・・嫌だわ。布団に入って寝たい」

「・・・・・・現実逃避をしている場合ではございませんよ、キベリア殿。己たちは死する覚悟で戦わねばならないのですから」

 ため息を吐き軽く頭を抱えたのは第8の闇『魔女』のキベリア。キベリアにそう注意したのは、第9の闇『殺影』の殺花だ。

「了解しましたー。今回も皆さんでハッピーエンドを目指しましょう。えいえいおーというやつですー」

 最後に戯けたように手を挙げたのは第10の闇『道化』のクラウン。全員の言葉を聞いたレイゼロールはこんな言葉を放った。

「では、各自2人体制を組め。現地に送る役目は我が引き受ける。1人余る計算にはなるが・・・・・・その者は我に言え」

「私よ。こいつらの誰かと組むのなんてごめんだわ」

 すぐさま手を挙げたのはダークレイだった。レイゼロールはダークレイの方に顔を向けた。

「お前か・・・・・・まあいいだろう。他の者も組み次第我に言え。亀裂に連れて行く」

「・・・・・・レイゼロール様、口を挟んでしまい申し訳ありませんが・・・・・・先ほどのお話では御身はお1人で亀裂に向かわれるとの事。レイゼロール様のお力は充分に承知していますが、相手は狡猾を絵に描いたような相手です。僭越ながら、誰か護衛をつけるべきかと」

「・・・・・・己もフェリート殿のお言葉通りかと」

 フェリートがそう進言する。フェリートの言葉が尤もだと言わんばかりに、フェリートと同じくらいに忠誠心が高い殺花もそう言った。

「・・・・・・お前たちの気持ちを蔑ろにするつもりはない。だが、それは無理だ。あそこには、あの亀裂には我が1人で行かねばならぬ理由があるからな」

「・・・・・・そうでございますか。執事の身でありながら、出過ぎた真似を。失礼しました」

 否の答えを述べたレイゼロールにフェリートが頭を下げる。長年レイゼロールに仕えてきたフェリートは、レイゼロールの言葉から並々ならぬものを感じ取った。

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