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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1776/2051

第1776話 陽華と影人(3)

「よーし、じゃあ私が取ってあげるね! これでも体を動かすのは得意だから!」

「い、いいの? けっこう高い所にあるけど・・・・」

「大丈夫大丈夫! 私に任せて!」

 陽華は笑顔でグッと両手の拳を握った。そして、鞄を地面に置き、ひょいひょいと身軽に木を登っていく。あっという間に風船のある所まで辿り着いた陽華は風船を手に取った。

「よし取れた!」

「わっ、お姉ちゃん凄い!」

「えへへっ、それほどでもないよ」

 少年がキラキラと目を輝かせる。陽華は照れたように片手で頭を掻く。陽華が木から降りようとすると、足が滑ったのか陽華は体制を崩した。そして、2秒後、陽華は木から落ちた。

「わ、わわっ!?」

「お姉ちゃん!?」

「あのバカ・・・・・・!」

 陽華が体勢を崩した時点で危ないと感じていた影人は、鞄を投げ捨て自身の全速力で陽華の元へと駆けた。その結果、影人は何とか落ちてくる陽華を滑り込むように受け止める事に成功した。

「ぐおっ・・・・・・!?」

 落ちて来る陽華の下敷きになった影人が苦悶の声を漏らす。陽華の体重が何キロなのか影人は知らないが、最低でも40キロはあるだろう物体がまあまあの高さから落ちて来たため、影人の体を襲った痛みと苦しみはかなりのものだった。

「え!? き、帰城くん!? 何でここに!?」

「そ、そんな事はどうでもいい・・・・・・それより、さっさとどいてくれ・・・・・・」

 陽華は驚いた様子で自分の下敷きになっている影人を見つめた。影人は呻くように上にいる陽華にそう言った。陽華は「ご、ごめん!」と言ってすぐに影人の上から離れた。

「ゲホッゲホッ・・・・・・し、死ぬかと思ったぜ」

「だ、大丈夫? ごめんね私のせいで・・・・・・」

 よろよろと何とか影人は立ち上がった。そんな影人に陽華が心配そうな顔を浮かべた。

「・・・・・・気にするな。これより強い痛みを何回も経験してるからな。それより、早くそいつに風船返してやれよ」

「え、あ、うん。はい、どうぞ!」

 影人に促された陽華が少年に風船を渡す。風船を渡された少年は「ありがとうお姉ちゃん!」と言って笑顔でどこかへと駆けて行った。

「元気なガキだな・・・・・・じゃあな」

「待って待って! 何で普通にどこかに行こうとしてるの!?」

 鞄を拾って去ろうとした影人を陽華が止める。影人は露骨に嫌そうな顔になった。

「何だよ。俺はお前に用はねえんだよ」

「私はあるの! そうだ。助けてもらったお礼に鯛焼き奢るね! ちょうどこの辺りに美味しい鯛焼き屋さんがあるんだ! そうと決まったらレッツゴー!」

「は? いや、いいよ。俺は本屋に・・・・・・って、おい。俺の手を引くな! 行かねえぞ俺は!」

「いいからいいから!」

 陽華が笑顔で影人の手を引く。影人は何とか陽華の手を振り解こうとしたが、いかんせん通常時の前髪野郎はモヤシである。対して陽華は通常時でも身体能力抜群系少女である。影人は抵抗出来ずに陽華に引かれていった。

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