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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1768/2051

第1768話 語らい2(3)

「着きましたよ」

「ありがとうございます。本当に助かりました」

「いえ。じゃあ、俺はこれで」

 丁寧に一礼してきた男性に影人はそう言うと、この場を去ろうとした。だが、男性は影人を呼び止めた。

「あの、もしよかったら少しお話させていただけませんか? この歳になると、寂しがりになったというか、人肌が恋しくて。10分ほどで構いませんから」

「話・・・・・・ですか? でも、俺なんか若造と話しても何にも楽しくはないと思いますけど・・・・・・」

「そんな事はありませんよ。人と話すのに年齢は関係ありません。私はそう思います」

 男は柔和な笑顔で影人を優しく見つめて来た。落ち着きがあって優しい大人だ。影人は素直にそう思った。

「・・・・・・そうですね。分かりました。なら、少しだけお付き合いさせていただきます」

「本当ですか? ああ、重ね重ねありがとうございます。では、あそこにベンチがあるみたいなので、そこで話しましょうか」

 男が神社の中を指差す。すると、そこには燻んだ水色のベンチがあった。男と影人は神社に入ると、ベンチに腰掛けた。

「それで、どんな事を・・・・・・」

 影人が長い前髪に支配された顔を男に向ける。すると、男は突然笑い出した。

「くくっ、あははははは!」

「っ? ど、どうされたんですか急に・・・・・・?」

 哄笑を上げた男に影人がギョッとしたような顔になる。その笑い声は、落ち着きのある大人の男には相応しいものではないように思えた。

「いやなに、普段の君はやっぱりお人好しだなと思いましてね。初めて会った時もそうだった。スプリガンの時はあんなに苛烈で冷酷なのに・・・・・・いやはや、あの時からあなたは変わっていませんね」

「っ・・・・・・お前、まさか・・・・・・」

 男の言葉を聞いた影人が信じられないといった顔になる。男が影人を見つめて来る。その目には先ほどまでの穏やかさはなかった。その顔には先ほどまでの落ち着きや思慮深さのようなものはなかった。その目には狂気の色が混じり、その顔には嘲笑が張り付いていた。

「ええ、あなたが今考えているであろう・・・・・・私ですよ」

 男はスッと右手を顔に掛けた。すると、男の顔が取れる。取れた顔は次の瞬間にはただの白い仮面に変わる。そして、現れたのは影人がよく知っている顔だった。

「こんにちは、影人くん」

「フェルフィズ・・・・・・!」

 そして、影人はその男の名を、倒すべき男の名を憎々しげに呼んだ。











「てめえ、よくものうのうと・・・・・・! 殺される決心でもついたか? なら、すぐに俺が殺してやるよ・・・・・・!」

『ははっ、マジかよ!』

 影人は反射的にベンチから立ち上がりフェルフィズを睨みつけた。イヴも思わずといった様子でそんな声を上げる。影人は『終焉』の闇を解放しようとした。だが、その前に影人の首元にピタリと冷たい刃が触れた。

「製作者への攻撃は看過できません。何か行動すればあなたの首を刎ねます」

「っ!?」

 影人が突然後ろから聞こえた声に驚く。影人がゆっくりと首を動かすと、至近距離にイズの顔が見えた。いつの間にか、イズは現れ影人の命を握っていた。

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