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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1757/2051

第1757話 作戦会議(4)

「まあ、今すぐに思い付かないものは仕方がないよ。今考えられる問題から考えないと。そのイズって子は昔精神を滅されて体を封印されたんだよね。なら、今回もその方法で倒すの?」

 ソニアが軽く首を傾げる。影人は微妙な顔で首を縦に振った。

「イズじゃなくて、正確には滅されたのは元のアオンゼウの意識だがな。そうだな。今のところはシスやシエラさんがやった方法で行くつもりだ。ただ、やっぱり出来ることならアオンゼウの器も破壊したい。あいつらと戦う前に何かいい方法を思いつけば、そっちに変更って感じだと思うぜ」

「うん。それが1番いいと思う。私も賛成」

「ふん。分かりきった事だな」

 かつてアオンゼウを封じたシエラとシスが影人の言葉に同意する。その2人が同意した事もあってか、異論を唱える者は特にいなかった。

「・・・・・・そいつの精神を滅した方法って、精神を表に引きずりだして直接死を与えるって方法だったんでしょ。さっきのあんたの話だと、なんかエルフっぽい奴が精神を顕現させてたみたいだけど・・・・・・そいつはどこにいるのよ。言っとくけど、精神を顕在化させる魔法なんて超超高難易度の魔法、『魔女』の私にも使えないわよ。というか、私はそもそもそんな奴と戦いたくもないけど・・・・・・」

 今まで黙っていたキベリアが心底嫌そうな顔でそう言った。キベリアは影人に質問を飛ばした形だったが、その問いに答えたのはシェルディアだった。

「レクナルや白麗の他の古き者はまだ向こう側の世界にいるわ。自分たちの国の様子を確認すると言ってたわ。まあ、向こうに戻って協力するように言えば協力するでしょうけど。でも、呼ぶのも面倒だし、やっぱりあなたが使えるようになっておきなさいな。キベリア」

「え!? あの、話聞いてましたシェルディア様!? 私その魔法使えないんですけど!?」

「じゃあ今から使えるようになりなさい」

「そんな無茶苦茶な!? 魔法の構造も何も分からないんですよ!? しかも異世界の魔法だし! しかもしかも、よしんば構造が分かったとしても会得するのに年単位は掛かるに決まってるし! いつ戦いになるかは分かりませんけど、絶対年単位はないじゃないですか!」

 シェルディアの無茶振りにキベリアが悲鳴を上げる。久しぶりのシェルディアの無茶振りは、今までキベリアが受けて来た無茶振りの中で最も酷いものであった。

「そんなものは知らないわよ。気合いで何とかなさい。どちらにせよ、その魔法を使える者は多くいた方がいい事に変わりはないのだから。時間は短いでしょうけど、せいぜい頑張りなさいな。出来なければ死より残酷な事があなたを待っているわよ」

「そ、そんなぁ・・・・・・ううっ、何で私ばかりこんな目に・・・・・・」

 キベリアは絶望したようにその顔を伏せた。多分だが、今キベリアの目には涙が滲んでいる。そんなキベリアを見た影人は哀れな目を向けた。

(キベリアさん。いつの間にかすっかり不憫キャラになっちまって・・・・・・でも頑張れ。嬢ちゃんは出来ないと思った奴に無茶振りをするような人じゃないから)

 影人は心の中でキベリアを応援した。影人はキベリアは間違いなくシェルディアに認められていると思っている。まあ、そのキベリアはそうは思っていないようだが。

「あれがかつて本気で戦った最上位闇人・・・・・・現実は怖いわね」

「あはは! まあ頑張りなさい闇人!」

 かつてキベリアと戦った風音と真夏もそんな反応を示す。すると、そんなタイミングでおずおずといった感じで陽華が手を挙げた。

「あの、ちょっといいかな?」

「ん? 何だ朝宮?」

 影人が陽華の名前を呼ぶ。発言権を得たと思った陽華はどこかバツが悪そうな顔でこう言葉を続けた。

「あの、急にこんな事言うのもあれなんだけど・・・・・・そのイズって子は()()()()()()()()? さっきから、倒す事しか方法がないって感じだけど・・・・・・」

「? すまん、どういう意味だ?」

 影人は訳がわからないといった顔でそう聞き返した。影人は本当に陽華が何を言っているのか分からなかった。それは影人以外も同じらしく、ほとんどの者が不可解な顔を浮かべていた。

「いや、あのねフェルフィズって人はきっともう倒すしかないかもしれないって思う。それもちょっと悲しいけど・・・・・・でも話を聞く限り、きっとそこまでいかなきゃ決着はつけられないんだよね。だから、それは仕方ない事なのかもしれない。だけど、そのイズって子は・・・・・・もしかしたら、他の方法を取って対処できるんじゃないかって」

「・・・・・・つまり、お前は何が言いたいんだ朝宮?」

 影人は純粋な疑問の言葉を陽華に送る。そこに苛立ちはない。その声音に安心感を抱いたのか、陽華は落ち着いた様子でしっかりとこう言った。


「うん。あのね・・・・・・つまり、()()()()()()()()。そのイズって子を。いつかの、レイゼロールの時みたいに」

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