第1756話 作戦会議(3)
「「っ、帰城くん・・・・・・」」
その言葉を聞いた陽華と明夜が驚きと衝撃が混在した顔を浮かべる。スプリガンである影人は2人の憧れだ。そんな憧れの人が自分たちを認めてくれている。陽華と明夜からすれば、その事実は特に大きなものだった。
「・・・・・・嬉しいな。君にそうまで言ってもらえるのは」
「影くん・・・・・・うん、どんどん頼りにしてくれていいからね♪」
「全く、今日の君はイヤに素直だね。そこまで言われてしまえば頑張るしかないようだ」
「私も全力を尽くします」
「上から目線っぽいのが気に食わないけど、よく言ったわ帰城くん! ただ、こいつらって言い方の中に私が入ってそうなのは許せないけどね!」
「す、すいません会長。ついノリで・・・・・・」
光司、ソニア、ロゼ、風音、真夏もそれぞれの感想を述べる。影人は先ほどの格好つけ具合はどこへやら。情けない様子で真夏に頭を下げた。
「・・・・・・お前がそこまで言うのならば、少しはアテにしてやる。だが、そいつらに絶対死を弾く力はあるのか? 死の概念を弾く、もしくは相殺できる力がなければ、さっきそこの男が言ったように戦力にはならんぞ。腹立たしい事だが・・・・・・俺様たちも含めてな」
シスが改めてその問題を提示する。そう。真の能力が解放されたフェルフィズの大鎌を相手にする以上、その問題は避けては通れない。不可避の絶対死をどう対処するのか。その問題をクリアしなければ、戦いにすらならない。
「いや、さっき言ったみたいに死を弾けるのは俺とレイゼロールくらいだ。それ以外の奴らにそんな力はねえよ」
「・・・・・・『終焉』の闇を纏う事が出来るのは、あくまでその使用者だけだ。他の者に纏わせれば死ぬぞ」
「分かってるよ。それに関しては1つだけアテというか考えがある。俺がお前との最後の戦いで使った『世界端現』だ。あれは死を弾く力がある。加えて、他人に纏わせる事も可能だ。取り敢えず、あれを使えば戦いにはなる」
レイゼロールの指摘を受け影人が答えを提示する。『終焉』の闇から陽華や明夜、光司を守るために使ったあの業。あれを全員に使う事が出来れば問題はクリア出来る。
「ただ、あれはかなり力を喰うんだよな。あの時は3人に力を使ったが、それでも尋常じゃなく力を持っていかれたし・・・・・・」
だが、その力にも問題はある。影人はその問題点を説明すると軽くボヤいた。
「力の消費の問題だけなら、まあ何とかなるでしょう。もう1つの問題は魔機神アオンゼウ・・・・・・今はイズだったかしら。あれをどうにか倒す方法ね。イズさえ排除出来れば、フェルフィズを倒す事も容易だわ」
「そうですね。聞いた話によると、イズには絶対死の力は通用しない。ですが、フェルフィズも厄介は厄介ですよ。あの狡猾さにいくつもの神器・・・・・・全ての元凶は彼だ。また彼を逃せば災厄は降り続きます」
「だね。本当に今度こそ最後にしなきゃ」
シェルディアの言葉にフェリートが反応し、ゼノがフェリートに同意する。すると、ソレイユがこう聞いて来た。
「あの、そもそもフェルフィズとイズの場所が分からなければ戦う事も出来ないですよね。しかも、2人の居場所はシトュウ様にも分からない・・・・・・どうやって2人を捜すんですか?」
「あー・・・・・・実はそれも問題なんだよな。あいつが次にどう動くかは分からねえし、網を張る事も出来ないからな」
影人が困ったように頭を掻いた。全く以て問題は山積みだ。




