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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1754/2051

第1754話 作戦会議(1)

「――さて、賑やかな休息も得られた事だし、そろそろ真面目な話といきましょうか」

 影人たちの異世界からの帰還が祝われしばらく経った頃。紅茶を飲み干したシェルディアは、店内にいる一同にそう告げた。

「ああ、そうだな。これ以上はもう俺の精神が持たねえ・・・・・・というか、ちょっと休むためにここに来たはずなのに、全然休めなかったし・・・・・・」

 シェルディアの言葉に影人が同意する。そんな影人にロゼが笑いソニアはムッとした顔になった。

「ははっ、主役は休めないものさ。むしろ、これくらいで済んだのだからまだマシというものだろう」

「ちょっと影くん。忙しい中せっかく駆けつけたのに、そういう言い方はどうなの?」

「まあまあソニア。さっき異世界から帰ってきたばかりの帰城くんからしてみれば、それは間違いないことよ」

「あはは! これくらいで情けないわね帰城くん!」

 風音がソニアを宥める。真夏は彼女らしい笑い声を上げた。影人は風音や真夏とそれほど親しいわけではないので、こちらの世界を出立する前に風音や真夏に異世界に行くという話をしたわけではない。だが、陽華や明夜が風音に話したのだろう。そのために、風音は影人が異世界に行っていた事を知っていた。

「ううっ、人が多い・・・・・・シェルディア様、私もう帰っていいですか?」

「ダメよ。あなたも働くのよ」

「情けないですねキベリアさん。『魔女』の名が泣いていますよ」

「うるさいわよフェリート。あんたに私の苦労が分かるもんか・・・・・・!」

 ため息を吐くフェリートをキベリアが睨みつける。そんな中、レイゼロールがシェルディアにこう言葉を掛ける。

「さっさと真面目な話とやらをしろシェルディア。大体の事はシトュウの念話で聞いたが、詳細は分からん。何があった? なぜ、あちらこちらの空間に亀裂が奔っている? 全て我たちに話せ」

「分かってるわよ。せっかちね。影人、あなたも話すのを手伝ってちょうだい」

「ああ、分かった」

 影人はシェルディアの言葉に頷いた。そして、シェルディアと影人は、シス、キトナ、ゼノ、フェリート以外の者たち――シエラ、ソレイユ、レイゼロール、陽華、明夜、光司、ソニア、風音、ロゼ、真夏、キベリア――に今までの事を全て話した。

「・・・・・・っていうわけだ。端的に言えば、俺たちはあいつを、フェルフィズを止めきれなかった。本当なら、世界間の境界を壊されたこの世界と向こう側の世界は1つになって大混乱に陥るはずだったんだが・・・・・・それはシトュウさんと零無のおかげで何とか食い止められてる。これが今の現状だ」

「「「「「・・・・・・」」」」」

 影人がそう言って説明を結ぶ。シェルディアと影人の説明を聞いた者たちは、少しの間黙ったままだった。

「・・・・・・ふん、つまりはまんまとしてやられたわけか」

「・・・・・・そうだな。その通りだ。言い訳をする気はねえ。だが・・・・・・魔機神の器を得たフェルフィズの大鎌の意思、イズは尋常じゃなく厄介で強かった。『終焉』をも無効にする不滅の存在性。更に能力が解放・拡張された『フェルフィズの大鎌』。正直、無敵っていても過言じゃない。あいつがフェルフィズの手駒なのが最悪だ」

「・・・・・・アオンゼウを封じるのには本当に苦労した。あの時でさえ強かったのに、今回はそれ以上なんて正直想像がつかない」

 かつてアオンゼウを封じた者の1人であるシエラが厳しい顔を浮かべる。

「帰城くんやシェルディアちゃん達でさえ止めきれない相手・・・・・・」

「そんな相手が今回の敵なのね・・・・・・やれやれだわ。設定盛り込みすぎのラスボスみたいね・・・・・・」

「自分は不滅でありながら、絶対的な死を与える存在か・・・・・・まさに死神だね」

「感心してる場合じゃないよロゼ。私たちはそんな相手をどうにかしないといけないんだから」

「ソニアの言う通りね。フェルフィズとイズをどうにかしないと、世界の危機は去らない。何か対策を考えないと・・・・・・」

「ヤバいわね。だけど、やるしかないわ」

 陽華、明夜、ロゼ、ソニア、風音、真夏の光導姫組も真剣な顔になる。光司も「それは本当に厄介な相手だね・・・・・・」と難しい顔を浮かべる。

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