第1752話 前髪の帰還は賑やかに(3)
「き・・・・・・帰城くん!? え、えー!? 何でここに!? もう異世界から帰って来たの!?」
「何てこと・・・・・・何気なく喫茶店に来たら異世界に行ってた同級生がいたわ・・・・・・オーマイガー」
「帰城くん・・・・・・帰城くん・・・・・・ああ、君なんだね。帰って来たんだね・・・・・・嬉しい。本当に嬉しいよ。っ、ごめん。あまりの感動に涙が・・・・・・」
ようやく硬直が解けた陽華、明夜、光司は影人に対してそんな反応をした。3人の反応に影人は恥ずかしそうに面倒くさそうに頭を掻く。
「一々大げさなんだよ。別に俺が帰って来たくらい、そんなに騒ぐほどのことでもねえだろ」
「いやいやいや! 普通に驚くし騒ぐよ!? だって私たちずっと帰城くんが帰ってくるの待ってたんだから!」
「知らねえよ。勝手に俺の帰りを待つな。あと本当にうるさいからちょっと黙れ」
「酷い!?」
陽華がショックを受けたようにガーンとした顔になる。影人と陽華のやり取りを見ていたシェルディアはくすりと笑った。
「ふふっ、相変わらずの元気の良さね。久しぶり、陽華、明夜」
「あ、シェルディアちゃん! うん、久しぶり!」
「そっか。シェルディアちゃんも帰ってたのね。久しぶり」
陽華と明夜がシェルディアに笑顔で挨拶を返した。
「陽華、明夜、守護者さんこんにちは。先ほど念話で一方的に語りかけたぶりですね」
「ふん、光導姫に守護者か・・・・・・」
「まあ、可愛らしいお服。ふふっ、どうやら、また影人さんのお知り合いのようですね」
陽華と明夜、光司を見たソレイユやレイゼロール、キトナがそんな反応を示す。ゼノ、フェリート、シスは横目でチラリと3人を見るだけで特に言葉を掛けるような事はしなかった。
「む、お客が一杯・・・・・・でも、頑張る。いらっしゃい。空いてる場所に適当に座って」
「はい!」
「かしこまり、でーす」
「すみません。ありがとうございます」
シエラに促された陽華、明夜、光司は、影人たちが座っている隣の4人掛けの席に座った。隣のテーブル席に座った3人に対し、影人は露骨に嫌そうな顔を浮かべた。
「げっ、何でそこに座るんだよお前ら。向こうのカウンター席も3つ空いてるだろ。向こうに行けよ」
「久しぶりに会った同級生に心底嫌そうな顔しないでくれるかしら。相変わらずの捻くれ具合ね帰城くんは。クールビューティーな私とは大違い」
「よく言うぜギャップ大魔神。確かにお前の見た目はそうかもだが、中身はバカキャラレベルのポンコツだろ。普通に見た目詐欺だろ」
「ちょ、急に酷すぎない!? 誰が見た目詐欺よ! というか、見た目詐欺でギャップ大魔神なのは帰城くんでしょ! 久しぶりに実感したわ!」
「はっ、どっからどう見ても孤独が好きな大人しいキャラだろ。俺のどこが見た目詐欺だ」
「そういうところよ!」
明夜が堪り兼ねたようにそう叫ぶ。本当に明夜に同意である。見た目詐欺の極致みたいな奴がどの口で言っているのだろうか。やはり前髪。前髪野郎。早く3度目の死を与えないと人類と世界にとって害悪である。
「まあまあ、月下さん少し落ち着いて。どうやら帰城くんはさっき帰って来たみたいだし、きっと疲れているんだよ。ところで帰城くん、そちらのお2人は? 初めて会う方たちだから、紹介してくれるかな?」
「あ、ああ。それは分かったが・・・・・・香乃宮、お前ニコニコし過ぎて逆に怖いぞ? というか、怖い通り越して気持ち悪いというか・・・・・・」
影人は頷きながらも引いたような顔で光司を見た。菩薩のような笑顔を浮かべている光司は、喜びからかは分からないが、光っているように見えた。




